こんにちは。先日、地元のまちづくり会社が運営している焚き火イベントに参加してきました。このイベントは、毎週異なるテーマを設けて地域の人たちが気軽に集まり、交流を深める場として開かれています。今回のテーマは「焚き火×防災食」。コミュニティナースが企画したものです。思いがけず多くの学びと気づきを得られた、温かいひとときでした。まちのにぎわいを生むのは、こんな日常の中での“おせっかい”なのかもしれません。
まず、「コミュニティナース」とはどんな存在なのでしょうか?コミュニティナース(通称:コミナス)とは、従来の医療や介護の枠を超えて地域の人々と関わり、町全体の健康や福祉を支える人たちのことを指します。医師や看護師といった専門資格を持つ方もいれば、地域で生活支援をしている方、ボランティアとして活動している方もいます。彼らは一人ひとりの体調や生活に寄り添い、病院や診療所に行かずとも安心できる環境づくりを目指して活動しています。
「健康」は、単に病気がないことだけでなく、心のつながりや地域社会の一体感を感じられることも重要です。コミュニティナースの活動がこうしたニーズに応えることで、地域の全体的な健康向上に貢献しているのです。私たちの町では講座を定期的に開いて人材を育成、広めており、今年は3期生まで育っています。
実はこのわたしもコミナスの一員です。医療関係者ではないので、できないことも多いですが、社会教育の視点から人と人を結ぶお手伝いができればいいなあ、と講座を受講しました。この集まりをきっかけにエンジニアと知り合いになったり、自然農法に関心を持ったり、と世界がどんどんひろがっています。
地域の健康や活気を支える「町を元気にするおせっかい」というコンセプトのもと、年齢も背景もさまざまな人々が集まりました。職業も医療関係者から地域住民まで幅広く、共通しているのは「町のために役立ちたい」という思いです。私も先日、スーパーで老夫婦が転倒するのを目撃して以来、いざというときに備える大切さを実感していたので、ぜひ参加してみたいと思っていました。
この日のメインイベントは、「防災食」を実際に試すこと。各自が持ち寄った防災食を実際につくってみたり、ビニール袋でご飯を炊く方法を教わったりと、災害時に役立つさまざまな工夫を実際に体験できました。
実は、参加者の中にはパッケージされた防災食を初めて作る方も多く、意外な発見がいくつもありました。暗がりでは説明書の文字が読みにくいことや、手順を飛ばしてしまいがちなことなど、普段の生活では気づかない課題が浮かび上がりました。また、水から作ると60分もかかることなど経験してみないと分からないことがたくさんあるのだと改めて感じ、備えの大切さを実感しました。
この焚き火を囲んだ時間は、防災に限らず地域の人々が日常で感じる小さな悩みや工夫を共有し合える、温かい場所でした。コミュニティナースや地域住民による「おせっかい」が防災という切り口で集まることで、いざという時にお互いを支える力が強まるのを感じました。
「自分のことは自分で守る」と言いますが、それに加えて、こうしたコミュニティのつながりがあると安心感が生まれます。病院や行政がカバーしきれない部分を、こうした日常の中で少しずつ補っていけるのが、私たちの地域の強みなのかもしれません。
いくつかの防災食を試していると、「味付けが濃く、毎日食べるには飽きが来る」という意見が多く出ました。濃い味は保存性や栄養バランスを考えた結果だとは思いますが、災害時に毎日食べ続けるとなると、やはり工夫が必要です。
そこで、ある方から「災害時には『みかん』や『りんご』のようなフレッシュな果物がとても喜ばれる」との話がありました。栄養面でも優れており、何より気分を明るくしてくれるフレッシュな果物の存在が、被災時にどれほど嬉しいかを改めて感じました。
この焚き火イベントは、地元のまちづくり会社が「地域の賑わいを創生する」という理念のもとで開催しているもので、私たちのまちの身近なにぎわいと人びとの交流ができる貴重な場となっています。異なる世代や職種の人々が集まり、毎回テーマをきめて、ゆるくつながっていくことで自分たちの町が好きになる仕掛けができつつあります。
「まちの元気を作るのは日常のおせっかい」というのは、まさにその通りだと思います。地域の人々が少しずつ関心を持ち合い、助け合うことで、町全体がより安心して住める場所になっていく。この温かい交流が、さらに多くの人を巻き込んでいくことを願っています。
焚き火を囲んでの防災食体験は、いざという時に必要な知識と仲間の力を改めて教えてくれる貴重な時間でした。町に賑わいを生むこうした“おせっかい”が、今後も大切な交流の輪を広げていくことを期待しています。