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【レポート】小学生による「地域の防災まち探検」:災害時になにができるかまちあるき!その1

 先日、地域の小学生を対象にした「防災まち探検」を開催しました。集まってくれたメンバーは、この春に、別の防災イベントで「逃げ地図」を作った小学生とその友達です。防災に興味を持っている保護者も数人参加してくれました。

 これは、災害時に必要な知識を自分たちの身近な場所で考える防災教育であると同時に、

  ・自分たちの目でまちをみなおす

  ・自分たちでできることを考え、広めていく

といった自主性を育むねらいもあります。

 今回は、かつて行政機関で危機管理部門の責任者をされた経験もある防災士の方を講師としてお願いしました。子どもたちと一緒に学校周辺を歩きながら様々な観点から防災対策について教えてくださいました。子どもだけでなく、大人にも多くの発見や驚きがあり、地域の防災意識を高める素晴らしい機会となりました。

 今回の災害想定は主に水害でしたが、講師は地震の対処もところどころ交えて話してくださり、複合的に取り組みました。

出発地点から歩きながら

探検の出発地点は近くの公共施設。まず、歩道に出てすぐに「段差」に注意を呼びかけました。専門家からは「水害時には段差が見えなくなり、意外な危険になる」との説明があり、普段から足元への注意が大切だと実感しました。特に私たちの地域はハザードマップによると最大で3mもの浸水が想定されています。実際に3mの高さを棒で示してもらうと、一階部分が完全に浸水する高さであることが子どもたちにも伝わり、驚きの声が上がりました。

浸水時の避難方法を考える

 次に、実際に水がどのくらいの深さまでなら歩いて避難できるのかという話題に。くるぶし程度までなら何とか歩いて移動できるが、それ以上の深さでは危険が増すため、垂直避難(建物の上階への避難)を考えるようアドバイスがありました。また、浸水時に履きたくなる「長靴」は水が中に入って脱げやすくなるため、実はNGとのこと。代わりに、ズックやスニーカーなどを履くほうが安全だそうです。

田んぼや歩道、街路樹への注意

 歩道の横に田んぼが広がる地域ならではのリスクも紹介されました。田んぼが浸水すると境目が見えなくなり、思わぬ場所で足を踏み外す危険があるため、歩道の真ん中を歩くことが推奨されました。また、街路樹についても増水時や強風時に倒れる危険があり、いざというときは近づかない方が良いと説明されました。

自動販売機と橋のチェックポイント

 街中でよく目にする自動販売機にも注意が必要です。固定されていない自動販売機は倒れたり、増水時には浮かぶこともあるため、安全を確保するために近寄らないことが重要だそうです。さらに、川にかかる橋が見えてきたところで、橋げたの有無を確認。橋げたに流木が引っかかると水をせき止めてしまい、溢れる原因となることもあるそうです。

ゴミステーションにもある「災害時のリスク」

 探検ルートにはゴミステーションもありました。通常、ゴミステーションのドア下部分が鉄板で覆われていると水が抜けず、浮いてしまうことがあるそうですが、今回確認したゴミステーションは全体が網状だったため、その心配はあまりなさそうでした。こんな身近な場所にも防災の工夫があると知り、子どもたちも関心を示していました。しかし、地震の際は倒れてくることを考えないといけません。

橋の観察と水の行き場

 いつも通学時などで通る橋には橋げたはあるか確認しました。見学した橋に橋げたはありませんでしたが、もっと大きな川にかかっている橋には橋げたがあります。これは橋の強度を上げるものですが、水害で川が増水した際には、流木などが引っ掛かり、水の流れをせき止めてしまうので増水や溢水の危険が増します。これから、違う場所に行って橋を見かけたらどうなっているか観察してみるもの大事です。

 また、昔は田んぼや畑が貯水ダムの役目を果たしていましたが、どんどん埋め立てられてしまい、そのために水の行き場がなくなって、川にすべて流れこんだり、そのまま道路や街にあふれることも起きている事実を考えなければなりません。

公園の一時避難所と水場

 学校に隣接する公園には、自治会名と「一時避難所」と記載された看板がありました。災害発生時にはまずここに地域の人々が集まり、お互いの安否を確認してから必要ならば指定避難所に向かう仕組みになっています。公園には水場もあり、飲料水が必要な場合はここで確保できることも確認しました。

ブロック塀…倒壊の危険がいっぱい

 学校に近づくとブロック塀が現れました。地震は突然襲ってきます。どうしたら自分の身を守れるかを第一に考え、実際頭を抱えた低い姿勢(シェイクアウト)をとってみました。講師からは、くれぐれもブロック塀には近づかないようにと念押しされました。他県で痛ましい事故が実際起きているのです。

学校周辺の用水路と安全な避難経路の確認

 学校の前には用水路が流れています。講師からは、「ここはこのあたりで一番危険な場所なので、絶対に近づかないように」との注意を受けました。子どもたちも大人も真剣に耳を傾けていました。増水する危険性のほか、うっかりはまってしまうと自力では這い上がれないからです。

 また、私たちの地区の小学校は防犯のためでしょう、ぐるっと高いネットで囲まれています。このあたりの指定避難所としてまず開設されるのはこの小学校です。

 しかし、災害時には出入り口が少ないため、近くに住んでいたとしても避難が思いのほか難しくなることもわかりました。これも、防災を意識して初めて気づくことですね。

(つづく)

案内人りく