子どものころ、うちにいつもあった気がします。
「オーロラ印の味付けたら」。一見すると乾物のようでいて、実は要冷蔵。しかも、消費期限が結構短いのです。
この商品を作っているのは「早崎商店」さんです。
早崎商店は明治時代に創業し、昭和35年(1960年)から「味付けたら」の製造・販売を開始しました。この「味付けたら」は、北海道産のスケトウダラを使用し、独自の製法で加工され60年以上にわたり、福井県民のご飯のお供として親しまれてきました。
前述のように、見た目は乾物ですが、実は「味付けたら」は要冷蔵商品です。これは、保存料や着色料を使用せず、素材の風味を大切にしているためです。そのため、冷蔵庫での保存が推奨されています。
2024年秋から、原材料のスケトウダラの不漁や加工業者の減少により、販売が休止されていました。しかし、早崎商店は塩漬け作業を自社で行うなどの対策を講じ、2025年4月末の大型連休から販売を再開しました。これにより、地元の味が再び食卓に戻ってきました。私が見かけたのは、販売再開からすぐ、というタイミングだったのですね。
「味付けたら」は、早崎商店の公式ウェブサイトや、福井県内の道の駅、アンテナショップなどで購入できます。また、オンラインショップでも取り扱いがあります。
久しぶりに食べてみたら、ふと頭に「?」が浮かぶ。
「あれ? こんな味だったっけ?」
もっとしょっぱかったような…。
もっとゴロゴロと塊が大きかった気もする…。
子どものころは、しょっぱさをお茶漬けで流していたような記憶もある。
でもそれが、自分の記憶違いなのか、味が変わったのかは分からない。
ただ、当時の“食卓の風景”を思い出すには、十分すぎるくらいの力があった。
こうして久しぶりに口にした“あの味”が、少し違って感じるのも、年月のせいかもしれない。
でも、それもまた、ローカルフードの面白さ。
地元のB級グルメって、こういう“ひっそりずっとそこにあるもの”なのかもしれない。
この商品のように「いつもあるのが当たり前」だったものが、なんらかの事情で突然姿を消すと、初めてその存在の大きさに気付くもの。
食も立派な文化。身近な「おいしい」を次代に伝えていきたい、と思えたエピソードでした。