先日、子どもからこんな質問を受けました。
「上海、何しに行くん?」
悪気は全くない純粋な疑問でしたが、よくよく考えてみると、確かに「目的がはっきりしていないと海外旅行に行きづらい」という感覚は、多くの人に共通するものかもしれません。
一般的に海外旅行といえば、「観光スポットを巡る」「有名な体験をする」「現地のグルメを楽しむ」など、何かしらの「目的」があってこそ出かけるものです。
例えば、
こうした明確な目的は、旅行計画の軸になりやすく、旅行自体のワクワク感や達成感を生み出します。
一方で、私の場合、今回の上海旅行の目的は「ただその街を見てみたい」というシンプルなものです。
有名な観光名所は当然気にはなりますが、マストというわけでもなく、単純に、上海の街並みや人々の生活の雰囲気を感じ、そこでしか味わえない空気に触れたいのです。
こうした「街そのものを感じる」旅は、近年注目される旅のスタイルでもあるようです。
旅先での体験が「観光」ではなく「生活の一部のような時間」になることで、より深い感動や気づきが得られるのです。
旅行の目的は必ずしも「何かを観光する」ことに限らず、「感じる」「考える」「休む」など多様です。
こうした目的は目に見えにくいかもしれませんが、旅の醍醐味の一つだと私は思います。
だからこそ、子どもに「上海、何しに行くの?」と聞かれた時に、わかりやすい答えに困ってしまうのも無理はありません。
子どもにとって「旅行の目的=遊ぶ・食べる・見る」ことが主な楽しみであり、それがないと「なぜ行くの?」となるのは自然なことです。
でも、大人になると「目的のない旅」や「目的を探す旅」も面白く感じられるもの。
その違いもまた、旅の魅力の一つだと思っています。
さすがに「暮らすように旅する」などという言葉を使うと大袈裟?ですが、その街の一部になってみたい、という感覚でしょうか・・・。
子どもの頃は、毎日が新しい発見や体験の連続で、自然とワクワク感がありました。
しかし、中高年になると、日常の中で「こんなの初めて!」という刺激や感動を感じる機会がぐっと減ってくる気がします。
もちろん、常に新しいことに挑戦している方は別ですが、多くの人にとっては日常生活はルーティン化しがち。
その結果、生活の中の「ワクワク感」をどう補うかが、心身の健康にも大きく影響してきます。
よくある方法としては、
などがありますが、私の場合は「海外に行くこと」がその役割を担っています。
海外旅行は、知らない土地を訪れることで五感が刺激され、日常とは異なる環境に身を置くことができます。
実際、海外に行くととても緊張します。でもその緊張感が心地よい。「言葉が通じるだろうか」「食べ物に有り付けるだろうか」「目的地にちゃんといけるだろうか」などなど、日本にいたら感じないような不安とワクワク。そんな刺激を求めて知らない土地に行くのだと思います。
また、「ただその街を歩いてみたい」というシンプルな目的でも、現地の空気、人の暮らし、街の風景に触れることで、日常の枠を越えた新鮮な感動や気づきを得ることができるのです。
それは、映画やテレビでは得られないリアルな体験。
中高年になっても、こうした体験は自分の中の「ワクワク感」を呼び起こし、心に活力を与えてくれます。
あなたは「旅の目的」をどう考えますか?
次の旅は、いつもと違う「目的のない旅」を楽しんでみてはいかがでしょうか。