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🐼ありがとう、浜家のパンダたち。アドベンチャーワールドと私の時間

🐼さよなら、「浜家」のパンダ

2025年6月28日、和歌山県西牟婁郡白浜町のアドベンチャーワールドから、この施設で生まれ、育てられてきたジャイアントパンダが全頭返還されました。

これで30年以上にわたる繁育基地の歴史に一旦のピリオドが打たれたことになります。現在、日本で見られるパンダは上野動物園の2頭のみとなり、来年2月にはその2頭も返還予定で、日本は「ゼロ・パンダ」の時代を迎えようとしています。

これは単なる「個人の、好きの対象」という感情の問題に留まらず、日中関係や地元政治との関係、「パンダ外交」という歴史的背景をも包んだできごとでもあるようです。

でも今回は、そのような背景をも知りながら、私自身のことを話したいのです。「私とパンダの時間」について。


パンダははるか遠くの存在だった

私は30年前から白浜のパンダの存在は知っていましたし、実際、同僚から「和歌山に行ってきた」という話を聞くとこもありました。また、和歌山にはより多くのジャイアントパンダの個体がいるのに、上野の方ばかり話題に上っていることにはなんとなく違和感を覚えていました。

ただ、白浜はなんといっても遠い・・・。自宅からは車で行く方が便利ですが、それだけに長旅になり、行くまでにはたいへん時間がかかります。 そんなわけで、我が家にパンダブームが展開されるのはずっと後のことでした。


「これが最初で最後・・・」のつもりが

私が初めて白浜を訪れたのは、独立した子ども夫婦から「白浜のパンダは本当に可愛いよ」と聞いたことがきっかけでした。 当時は、もちろん?上野のパンダは見たことがありましたが、珍獣ということ以外、正直、そこまでの思い入れはありませんでした。しかし、熱心に語られる白浜のパンダのことを聞いたり、とても近くで見ることができると聞き、「せっかくだし一度くらいは行ってみようか」という気持ちになりました。

 こんな気持ちですから、、私は「これが最初で最後かも」と思いながら、夜の観覧やサファリジープ、パンダの餌やりやライオンの餌やりなど、その当時参加できたオプションを残らず詰め込んで楽しみました。

そしてそれ以降、あの開放的な世界観も相まって、私のパンダ通いが始まりました。


ラッコもいた。そして、開放感

 結局、年間パスポートも買い、最高で年間3回程度は訪れるようになり、そのうち、パンダ達の名前や個性もしっかり分かるようになりました。 最初は「これが最後になるかも」などと言っていたのが、時には愛犬も連れて、6時間以上の長路を家族交代で運転しながら向かう事となっていました。犬仕様の常宿までできたくらいです。

私はパンダ以外の動物も好きで、当時アドベにいたラッコや白くまを見るのも楽しみの一つでした。家族はパンダにぞっこんでしたが、私はラッコの「生存確認」と称して水槽に張り付いたり、サファリを体験できる乗り物に乗ったりと広いパークの中で思い思いの時間を過ごしました。

なにより感動したのは、この施設の「見せ方」です。 できる限り開放的に個体を配置させたスペースは、「閉じ込める」のではなく「こちらがお邪魔する」ような、そんな気持ちにさせてくれる環境でした。

動物園は、通常、おりがあって、こちらが狭いところにいる動物を見ている感じが、なんとなく罪悪感というか居心地の悪さを感じることが多々あり、特にサルやゴリラなどの展示は苦手でした。

しかし、アドベはそこまでの罪悪感を感じずに済むと思えました。


分かっていても、想いは複雑・・・

パンダとの別れは、いつかはくる。 それを実感したのは、「永明」、「桜浜」、「桃浜」の返還の時でした。

その後、パンダへの興味が広がり、神戸にいたタンタンの観覧にも何度も行きましたが、彼女は病気のため観覧が中止となり、結局、なくなってしまった時にはとても悲しい思いをしました。

そして今回の、すべての白浜のパンダたちの返還・・・。

理屈ではわかっています。「借りているだけ」、「展示できなくなってからのケアとパンダの幸せ」という事実に基づいての帰還。 最近知ったことですが、タンタンさんのように、日本でなくなってからでも変換の義務がある・・・。それでもやはり、しばらくは「パンダロス」が続きそうです。

私にとって、パンダに会うために白浜や神戸に通うこの数年は「可愛いだけじゃ言い切れない」とても貴重な時間でした。

じゃあ、上野に行くか・・・?

今現在、上野にパンダは2頭います。

本当のパンダ好きならそちらの個体を精一杯愛でてあげればいいじゃないか。。。となるところでしょう・・・。

しかし、正直、私は、今度は上野へ通おう・・・とは思えません。上京して時間があれば観に行くことがあるこかもしれませんが、それだけのために、わざわざ行くことはしないと思います。

それくらい、白浜のパンダたちが伸び伸び暮らしていたし、個性も見えて、相当の親近感があり楽しかったと思います。その気持ちを後押ししてくれたのは、SNSなどの存在がとても大きいと思います。アドベの公式を筆頭に、テレビでも頻繁に特集されていたし、中には飼育員にフォーカスされた番組も視聴するにつれ、単なる動物ではなく、それを取り巻く世界観そのものが一つのエンタメとして成立してきたのです。

それに、私にとって上野は、観覧のタイミングが悪いのかどうか、時間が短く、また、のびのび展示されている感じが正直しない。。。

いっそ成都へ

考えてみたら、旅費を度外視すれば、運転で6時間あまりの白浜、飛行機(直行便)で6時間くらいの四川省成都・・・。同じくらいに思えてくるではありませんか???流石に飛躍しすぎでしょうか・・・。

 以前の記事でも書きましたが、私は一度、成都に行ったことがあります。

その直後から期限つきですが中国への渡航にビザが不要になっていることもあり、これまでより一層、成都旅行が身近に感じられ、今回の全頭返還で、いよいよ私の中で優先順位が高まったなあと思うこの頃です。

今回帰国したお母さんパンダの「良浜(らうひん)」は高齢ということもあり、今後展示はされないのではないか、と言われていますが、その子どもたちは、検疫が終わり、新しい環境に慣れれば、再び会える可能性は高いでしょう。

現に、先に帰国した「桜浜・桃浜」は展示されており、その愛くるしい姿は日本のファンだけでなく、世界のパンダファンの人気を集めています。

パンダロスと、次なる目標と

流石に最終観覧日のセレモニーを終え、彼女らが成都に到着した直後の今は、パンダロスです。

他に楽しいことがたくさんあるけれど、そして、ここのところは一年に数度くらいしか会えなかったけど、心にぽっかり穴が開いたような感じです。どう考えても本人たちが一番大変なのに・・・。

今は1日でも早く新しい環境に慣れて欲しいと祈るばかりです。

そして、私も何か目標を見つけて、それに向かって邁進できるような環境を作りたい。

国宝級のパンダと同列にするのは少々おこがましいですが、今度会えた時に「お互いがんばったね」と言えたらいいですね。

案内人りく