今日は久々にテレビドラマを見て感動したことを私的な思いで書きます。
そのドラマは日曜劇場「19番目のカルテ」(TBS)
主演、松本潤さんが演じるのは、総合診療医の徳重 晃。主人公ではあるけれど、このドラマの真の主役は、彼のもとを訪れる“語り部”のような存在たちだと思う。
第2話に登場したのは、病気の弟を献身的に支えてきた「兄」の物語。
母は蒸発し、父は働き詰め。高校を辞めた彼は、子どもであることをやめ、「お兄ちゃん」として、毎日を生きていた。
でも、本当は違った。
弟のヒーローなんかじゃない。
逃げ出したくて、壊したくて、
でもそんな感情を持つ自分を、ずっと責めてきた。
そして――弟の死に、どこかで「安堵」してしまったことに気づいたとき、
彼は自分自身を、心の底から嫌悪していた。
そんな彼に、徳重医師はそっと語りかける。
「話していいんだよ」「これからのことを話そう」
その言葉で、彼の心がほどけていくのを、私も感じた。
福井県では2021年に、中学2年生・高校2年生を対象にヤングケアラーの実態調査が行われた。
その結果、世話の必要な家族がいると答えた生徒は、中学生で約15%、高校生では**22%**を超えていた。
なかでも「祖父母のケア」が全国平均の2.5倍に上るなど、他県よりも家庭内での役割が重くなっている子どもが多いことが明らかになった。
しかも、「自分の今の状況について誰かに話したい」と答えた子どもは35.7%。
つまり、3人に1人が「助けて」の声を、心の中で出しているのだ。
でも、現実にはそう簡単に言えない。
「弟のほうがかわいそうだろ」
「親が頑張ってるんだから、お前も我慢しろ」
そう返されるのが怖くて、黙り込む。
福井県では、ヤングケアラーを支援する体制が徐々に整えられている。
オンラインの相談窓口や交流会、地域のフリースペースもできはじめた。
でも一方で、「参加する子どもが少ない」「楽しみがないと集まらない」という支援者の声もある。
そう、子どもたちにとって一番大事なのは、“安心して、子どもでいられる場所”なんだと思う。
・手伝わなくていい場所
・愚痴をこぼしてもいい関係
・「あなたが主役」になれる時間
そんな場が身近にあれば、子どもたちはようやく、「誰かの役割」ではなく、「自分自身」として息ができる。
いま、子育てを終えた中高年世代の私たちにも、できることがあるはず。
それは、直接的な支援じゃなくていい。
・地域の行事で声をかける
・近所の子どもに「がんばってるね」と伝える
・公民館や児童館の取り組みに、ちょっと関わってみる
・「困ったときは言っていいんだよ」と自然に言える大人でいる
子どもを“守る存在”から、“関わり合う存在”へ。
ヒーローじゃなくていい。ただそばにいて、「あなたがあなたでいられる場所」をつくれる大人でありたい。
ドラマの中の兄の涙は、遠い世界の話じゃない。
私たちのすぐ近くにも、「声なきSOS」があることに、気づかされた夜だった。