万博に通い始めて早7回目。通期パスを持っているからこその余裕で、これまでパビリオンの予約にはそこまで力を入れていませんでした。正直、賑わうパビリオンを見ては、「あんなに並ぶなんて、みんなすごいわねぇ」なんて、少し遠くから眺めているくらいでした。
ところが、最近のSNSや友人との会話で頻繁に聞くのが、イタリア館の話題。「本場の美術品が大阪にやってきた」「とにかく美しい」「感動した」という声を聞くたびに、「みんながそこまで言うなら、一体どんなところなのか?」という、私の好奇心スイッチがカチッと入ってしまったのです。
結果から言います。6時間並びました。
その日は事前予約全滅で、朝10時過ぎに西ゲートから入りました。まずはトイレを済ませて、大屋根リングの中を歩いていると、ふと、イタリア館の行列が目に入ったのです。スタッフさんの持つ看板には「2時間」の表示。
「よし、並んでみよう」と決心した…というよりは、「ふらふらとノリで並んでしまった」というのが正直なところです。スタッフの方は「2時間以上かかります」とは言っておられましたが、具体的な時間は教えてくれませんでした。これまでの万博経験からして、蛇行する列を見て「これが2時間?」とは思いましたが、観覧に要する時間も知らないので、「たくさん入れて、どんどん流れがあるのだろう」と漠然と思っていました。
そして、もう一つ、私を並ばせた要因が「ソロ活」です。誰かと一緒だと、「疲れたからやめようか」「もう帰ろうか」と、相手に気を使ってしまいますよね。でも一人なら、誰にも遠慮することなく、自分の気持ちだけで動けるのが何よりの強み。この日は、「とにかく自分の目で確かめたい!」という好奇心と、ソロ活ならではの自由さが、私を6時間の列へと誘ったのです。
正直に言います。一人で黙々と並ぶ6時間は、決して退屈しなかったと言えばウソになります。話す相手もいないし、ただひたすら待つのみ。本でも持ってくればよかったかな…と何度も思いました。
ですが、この長時間に耐えるためには、いくつか必須アイテムと日頃の習慣が功を奏しました。 まず何より、折りたたみ式の椅子!これは絶対にマストです。私が並んだときは、ほとんどの方が椅子持参で参戦されていました。 そして、軽食(パン)と飲み物複数本。一人で並んでいると、列を離れて買い物に行くのは少し気が引けます。
途中でトイレのために列を離れるのも、後ろの人に声をかけてお願いするしかないのですが、微妙な顔をされることもあります。もちろん、私が行った時は本当にトイレだけだったし、幸い行列のない場所が近くにあったので、時間もかかりませんでした。戻ったら優しい対応をしていただけましたが、やはり「お互い様の精神」が必要ですね。
この6時間、私はずっと折りたたみ椅子に座っていました。余計な体力は消耗しないように、ひたすら「無」になる時間です。携帯もあまり触りすぎると電池が減ってしまうので(モバイルバッテリーは持っていますが)、最小限に抑えていました。まさに、「省エネモードで忍の一文字」。普段ウォーキングの習慣は特にないのですが、ジムに通って体を動かすようにはしています。それが功を奏したのか、意外と長時間座っていても大丈夫でした。また、決まった時間に食べるのではなく、お腹が空いたときに軽食で小腹を満たす、という臨機応変な対応が、体力を維持する秘訣だったのかもしれません。
そして、私が途中で「帰ろうかな」と思わずに済んだのは、周りの人たちの様子があったからです。ほとんどの方がとてもおとなしく、離脱する人も最小限。家族やグループで来られている方が大半で、和やかに会話したり、笑ったりされていました。そうした様子を見ていると、待つこと自体も万博の体験なんだと実感し、なんだかすごく温かい気持ちになり、感心しました。
こうして、ついに扉が開いた瞬間!長かった6時間の疲れが、一瞬で吹き飛んでいくのを感じました。
さて、6時間並んでまで見たイタリア館の中は、一体どんな世界が広がっていたのでしょうか?それは、次の記事でたっぷりとご紹介しますね。
**【6時間待ちの先にあった、イタリア館の知られざる魅力と気づき【ネタバレ編】】**へ続きます。