あれは6月上旬のことでした。
ちょうど、大阪に行く用事があり、それまで全然具体的に考えていなかった「万博へ行く」ということを現実にしたのです。
本当にふと思い立って平日券を購入し、万博へ出かけました。
目的はひとつ――どうしてもドローンショーを見たかったからです。まさか、この小さな冒険が、後に通期パスを購入するほどの万博通いにつながるとは、そのときは夢にも思いませんでした。
前日から大阪市内のホテルに宿泊していたので、朝食をしっかりとって8時過ぎにはホテルをチェックアウトして出発。
予定の入場時間は11時でしたが9時過ぎには「夢洲駅」に到着し、そのまま大階段をあがってゲート前の広場についていました。あと2時間近くあるのでどうしよう、と思いながらとりあえず、警備員の誘導に従い、歩いていくと、11時入場者用の通路が設けてありました。案内に従い進んでいくと、すでに20名ほどの方が柵で仕切られたエリアにおられました。私は、持参していった「折りたたみいす」を広げ、座って待つことにしました。
それから、2回ほど警備員に列が誘導され、最終的に柵が外されると手荷物検査の列に並びなおします。ここでもしばらく待ってようやく順番がきて、東ゲートに大体定刻過ぎに入ることができました。
会場に入ってまず目に飛び込んできたのは、大屋根リング。家族から「せめて大屋根リングだけでも見ておいたほうがいい」と言われていましたが、その通りでした。ギネス登録された世界最大級の木造建築は、想像以上の大きさ、高さで写真では伝わらない迫力と存在感があります。エレベーターで登って歩くと、木の温もりや風の抜け方を感じながら、万博会場を見下ろせる特別な眺めが楽しめます。会場も全体が見渡せて「圧巻」のひとこと。これはぜひ、体で体感してほしい体験です。
この日は昼過ぎまで予定がなく、あまり予習もしていってなかったので入場直後は特に行き先を決めていませんでした。どこへ行くともなく大屋根に沿いながら歩いていき、たまたま通りかかったインドネシア館へ。
ここではとても明るく声をかけてくれるスタッフがたくさん。お祭りのような陽気な雰囲気に惹かれて列に並ぶことにしました。中の展示もとても魅力的。正直、あまり大きな国というわけではないので、それほどの期待はしていなかったのですが、とんでもない・・・。展示も建物もとても素敵で丁寧。ちゃんとお金をかけて、というと失礼ですが、真摯に取り組んでおられることがよくわかりました。偶然の立ち寄りでも、こんな素敵な発見があるのが万博の面白いところだと感じました。
この日は運よく、日本館の抽選にも当たっていました。12時過ぎからの入館です。
ただ、正直言いますと第一希望ではなかったような気がします。
東ゲートから入ってまず、「日本館」の場所を真っ先に確認しました。中に入ってしまうと、移動の時間が全くわからなかったからです。
そのときは「大屋根リングの中は海外とシグネチャー、周辺に日本関連」ということさえ知りませんでした。
日本館は3つの建物で成り立っています。日によって回る順番が異なるとのことで、展示を丁寧に見て回ると、あっという間に1時間以上が過ぎました。「ここをじっくり見ようと思ったら、夕方までかかるだろうな」と実感。会場のスケールに圧倒されつつ、次に来るときの楽しみも増えました。
食べ物にお金をかけるのは贅沢だと思っていた私は、持参したペットボトルと軽食で待ち列をしのぎました。立ちながら小腹を満たす――。この時には「少しでも多くの展示を見たい」とそればかりに必死になっていたと思います。なので、食べる間も惜しく感じたのですね。軽食については入場の待ち時間でも活用できるかな、と持参したもので、そんな小さな工夫でも、初めての万博では十分でした。
ドローンショーは時間は大体9時の少し前とわかってはいましたが場所が全然わかりません。
とりあえず「大屋根リング」に上っていればいいとはおもいましたが、西をみればいいのかひがしなのか・・・。周りの方も同じような状態のようでした。
そのうち、音楽がどこからともなくかかり、だれかが「こっちですよ」といわれたので、正反対を見てカメラを構えていた私はあわてて西ゲート側の海に向かってみると点々と小さなドローンがだんだん出現してフォーメーションを作ってきました。木を形成したり、輪を作ったり、あるいは人型に密集したりと様々な表現のあと「one world one planet」という文字で締めくくられました。
「シャインハット」というイベント施設のプロジェクションマッピングは、夜あるので必見、とガイドブックには書いてありましたが、この日は時間や帰路の所要時間など細かいことがわからず、結局見逃してしまいました。でも、初めての一歩だからこそ味わえたワクワク感、偶然の出会い、小さな後悔…それらすべてが、この日の冒険を特別なものにしてくれました。
もちろん、私の体験はあくまで一例です。長時間待ちや体力勝負のパビリオンもあります。でも、力まず自分のペースで楽しむことを優先すると、意外な発見や小さな感動に出会えるのです。それは、計画通りに全部回るよりも、ずっと自分らしい景色かもしれません。
この小さな冒険が、私の“万博通い”のはじまりでした。次回は通期パスを手にして、もっとじっくり楽しむ日々が待っていると思うと、今からワクワクします。