1. たけふ駅周辺を歩く

 旧武生市内の、越前市役所周辺は、大きな寺社を中心に複雑な町並みが広がる、歴史の深い場所です。ここ旧武生市も、北陸新幹線県内延伸で、新駅が郊外にできたり、基幹道路の周辺に大型店が軒並みできるなど、時代の流れの中で少しずつ変わっていっています。

 今回はそんな中で、旧市街の変わらない街並みの景色の中を歩くことで、見えてくるものがありました。

2. 歴史ある町並みと変化の様子

辻や袋小路の複雑な町並み

 町並みの中心には、大きな寺や神社がたくさんあります。特に寺が集まっているような街並みは、福井県内では、越前市のほか、大野市くらいでしょうか…。確かに、大野市は良く知っているので「寺町」あたりの景観と似ているような気がします。ただ、ここはとても道が細く複雑です。ある寺社を取り囲むようにして、卍の形をした辻や袋小路が点在しているのは、歩いてみないと気づけない発見でした。

 江戸時代には迷宮のような町並みが防犯の役割も果たしていたのではないか、と思われます。まっすぐに道が続いておらず、わざと鍵のように曲がっているさまは石川県金沢市などにもみられるつくりです。

シャッター街と閉店の呉服店

 散策を続けていると、ふと、一枚の墨書きの張り紙が目につきました。ちかづいてみると、150年続いた呉服店が閉店します、と書かれていました。歴史ある店舗が少しずつ姿を消している寂しさは、ある意味受け入れざるを得ないのでしょうか。歴史の波にそっと飲み込まれていく街の姿を目の当たりにすると、知らないお店なのに寂しさを感じます。

3. 街の移り変わりへの想い

郊外に大型チェーン店やモールができ、昔ながらの店舗が静かに幕を閉じていくのを見て、この街はどこに向かっていくのだろうかと思いました。

移り変わりをそのまま受け入れるべきなのか、街の姿をどう残していけるのか。自分には何もできないと感じつつも、考えさせられる街歩きでした。

私という存在もいつかは消えてなくなるのだなあ、などと感傷にひたってしまいました。

4. 防災の重要性と結び

実はこの街歩きは目的があります。近々開催する防災ワークショップとそのあとに行う街歩きの下見のためです。

今まで、車では何回となく通っていた街でしたが、改めて歩いてみて、路地に入ると全然違った景色があり、たくさんの分かれ道があり、生活があることがわかりました。この一つ一つの建物にたくさんの方の生活があるのだと思うとなんだか、不思議な気持ちになりました。小さな細胞が体を構成しているような感じと言えば伝わるでしょうか・・・。

 先ほどの閉店の呉服店のほか、火災で焼失した街もありますし、角がすっぽり駐車場になっていたり、空き地になっていたりする様子もみていると、まちのありようは歴史の中でかわっていくけれど、せめて災害が起こってしまったとき、この街で今を生きる人たちの命が守られるように、防災の大切さを広めていきたい。そのためにできることは、災害のための備え、です。防災ワークを通じて、地域の歴史と共に命を守るための備えも深めていけたらと感じた一日でした。