私、つい最近、中国四川省の成都に行ってまいりました。

なんと、日本人の旅行ビザが免除になるというタイミングです。2024年11月30日~2025年12月31日まで日本国籍を含む対象国の一般旅券所持者が、30日以内の商業・貿易活動、観光・親族訪問・交流訪問 及び 通過目的で中国に入国する場合は 査証が免除 されたことは皆様も報道などでご存知かもしれませんね。

 苦労して?2ヶ月近くかけて手に入れたビザが、直前で不要になったのは一瞬複雑な気持ちでしたが、これで旅のハードルがグンと下がったことは間違いありませんね。

 この中国の旅で私はさまざまな体験をしましたが、今回は食事について書きたいと思います。

 私は正直、旅での食事のウエイトはそれほど高くないのです。若い頃は「ここの店に行きたい」という動機で旅をしたことがありますが、最近は体力というか、その時のお腹に合わせたスタイルに変わりつつありました。ついには、ホテルの自販機で,割高のカップラーメンを買って済ます、などということさえ出てきました。

 でも今回は、旅の同行者がいました。私を入れて4人です。この4人でツアーを申し込み、主たる目的は「パンダを見にいく」こと。食事はそこまで重視してはいなかったのですが、この同行者の中の一人が結構旅において食事のウエイトが高い人だったので、自然と私も釣られて事前にお店を調べたり地図のブックマークをしたりしていました。

こんなふうに、旅行前に、あれこれ四川の食文化について色々と調べてみたところ、本場の麻婆豆腐や小籠包、火鍋など、スパイシーでパンチの効いた料理が思い浮かび、「辛いけど美味しい!」というイメージを膨らませていました。ただ、同行者は数名いたのですが、そのうち半数が自称「舌がお子ちゃま」で辛いものが苦手・・・。そうなると、せっかくビザを用意して行った場所でそこの地ならでは、で、そんなに辛くないもの???と複雑な条件が重なってしまいました。

そんなこんなで、いざ成都の地を踏み、実際に食べてみると……。その体験は想像以上!しかも良い意味でも悪い意味でも(笑)。

怖いもの見たさ?で陳麻婆豆腐本店に行った体験や夜市の屋台料理の様子をお伝えしますね。一般的な話というよりは、私たちの体験といった感覚で読んでいただけると嬉しいです。


ギャップその1:麻婆豆腐が「痺れる」どころじゃない!

私たち4人は自由行動の日、二手に分かれることにしました。これにはちょっとした事件があったせいですが、それは別に書きますね。

 自由行動の夕食、「せっかくなら話の種に」と、連れの提案で陳麻婆豆腐の本店に行く事にしたのです。

陳麻婆豆腐とは

 陳麻婆豆腐とは中国・四川省・成都市にある麻婆豆腐が有名なレストランの名称です。 陳麻婆豆腐老店は観光ガイドブックにも載っている程の四川を代表するレストランです。 麻婆豆腐はもともと「陳」という名の胡「麻」をふったようなあばた顔のお「婆」さんが初めて作った「豆腐」料理が名称の由来です 

 成都の中心部にはいくつかの支店があるようですが、せっかくなら、と本店に向かうことにしました。Google マップにも載っていて、まだ明るいうちに地下鉄「春熙路駅」からあたりを散策した後、歩いて向かいました。結構距離があって大変でしたが、夜17時からの営業で少しだけ前につきました。店の前で写真を撮り、しばらく待っていると人がポツポツと入っていくので続いて入っていきました。「予約はしていないのですが・・・」というと、「大丈夫だ」という感じで階段の方に手招きされました。店の中はまだそんなに人はおらず、従業員が開店の点呼のようなことをしているところでした。私たちは案内されて2階のテーブルにつきました。

 メニューが出てきましたが、中国語に少し英語の解説があるだけで、写真も一部の料理のものがアクセント的にあるのみでメニューの想像が難しかったです。相当迷いましたが、2人だったこともあり、あれこれ頼まず、メインの麻婆豆腐と白米にあと野菜料理一品を頼むことにしました。

 事前の情報では、「麻婆豆腐=辛い+痺れる」というのが紹介の定番でした。でも、実際に成都で食べた陳麻婆豆腐(本店)の体験は、辛さや痺れというのはその通りなのですが、それ以上に「スーッとする清涼感」に似た感覚が襲ってきたのです。

 この感覚の正体は、唐辛子と花椒(ホアジャオ)。特にホアジャオが一種の清涼感を感じさせるのでしょう。このホアジャオ。辛さとしびれが特徴で、今では日本のスーパーなどでも手に入る中華スパイスです。 日本でも、中華料理がより本格的に仕上がるだけではなく、その「シビ辛」な味わいがクセになる調味料として注目を集めています。

 この料理。辛さは後に来る感じ。恐る恐る少量から食べて「あれ?行けるかな?」と思ったら、グア〜っとあとから辛さと香りが広がってきました。しかも鉄のような入れ物に入ってくるので、熱さもちゅんちゅんです。

 また、別に頼んだご飯、2人で行ったので2人前を頼んだのですが、これは失敗!一人分が多い多い・・・。2.5合くらいあったと思います。しかも足りないと、どんどんおかわりを持ってくるようなシステムでした。確かに麻婆豆腐と一緒に食べると「メシ泥棒」状態でどんどん進みますが、お腹が膨れてきてしまいますし、食べていると汗が噴き出す。でも、その辛さに慣れると、旨味がじんわり感じられて次のご飯が欲しくて止まらない。辛いものがまあまあ大丈夫で、韓国の辛い麺「ブルダック」で練習?した私にも最初の一口は衝撃的でしたが、すぐに「これが本場の味か!」と感動に変わりました。

 結論、日本の中華料理店で食べる麻婆豆腐とはまるで別物と言っても過言ではありません。辛さも痺れも段違いなので、これを日常的に食べている地元の人たちの「辛さ耐性」に驚きました!


ギャップその2:寛窄巷子は異世界感満載

 成都といえば、夜市で食べ歩きを楽しむのが定番だそうです。旅行前に調べた写真では、美味しそうな串焼きや麺料理、点心がずらりと並んでいて、思わず涎が出そうな雰囲気でした。以前「屋台がちょっと苦手」と記事に書いた私ですが、成都にもあちこちで屋台が出ていました。しかも一味も二味も違っていました。

 私が訪れたのは、「寛窄巷子」です。厳密に言えば、夜市というわけではないかもしれませんが、実際に訪れてみると、まず香りに圧倒されました。屋台から漂うスパイスや油の匂いは強烈で、最初は少し戸惑うほど。特に、羊肉串の独特な香り(ちょっとクセがある!)は日本ではあまり嗅いだことがなく、これは人によって好き嫌いが分かれるだろうなと感じました。

一方で、現地でしか食べられない珍しい料理も目にしました。

 なんと、ウサギです。「兔头(ウートウ)」と呼ばれるウサギの頭を煮込んだ料理などが真空パックに入って売られている店もたくさんありました。地元の人たちはこれをビールと一緒に楽しんでいるとのこと。つくづく文化の違いを肌で感じました。


ギャップその3:お財布に優しいけど量が多い!

 成都での外食は驚くほどリーズナブル。火鍋や麺料理を一食楽しんでも、日本円で500〜1000円ほど。ただ、どの店も一人前の量が非常に多く、日本の感覚で注文すると食べきれないこともしばしば。前述の陳麻婆豆腐のお店でもその大きい器を目にしました。直径30センチはあろうか、という大きな丼に料理が来て、しかも一人の客もたくさんいます。ひたすら食べて、結構の量を残して帰るという光景を複数目にしました。中国では食べ残し文化があると以前聞いたことがありますが、少なくてもここでは健在でした。

私たちは量もさることながら、辛さにやられ、テイクアウトを申し出ました。一元で、きちんとした蓋つきのパックを用意され、もう二人の同行者に「味見」として持ってかえりました。

また、多くのお店でQRコードを使ったスマホ決済が主流で、現金をほとんど使う機会がありませんでした。事前にWeChat PayやAlipayを準備しておいて本当に良かったと思います(ただし、この決済には残念なエピソードもあります。それは別の機会に)。


まとめ:本場の食事体験は驚きと感動の連続!

事前に調べた情報が役立った部分もありますが、やはり現地でしか味わえない「生の体験」は想像を超えるものばかりでした。特に、麻婆豆腐の奥深さや夜市の独特な雰囲気は、日本では得られない貴重な思い出です。

次回は、成都で感じた「金銭面のギャップ」について書きたいと思います。現金をほとんど使わなかった体験や、中国のキャッシュレス文化の進化ぶりに驚いたエピソードをお届けします!


番外編   

寛窄巷子はお菓子の屋台もたくさん出ていました。そのなかで私が気になったのは、韓国の「クルタレ」に似たお菓子。麦の粉でできた生地をまるで絹糸のように細くして固め一口大にしたもの。結局、街なかでは買わなかったので、帰りの空港で買いました。味は、素朴ですが、口の中に一杯粉が広がってしまいのどにつまりそうでした…。切れにくいですが、小さくカットしてたべることをおすすめします。