浪費癖に悩んできた私が「メンタルアカウンティング」と「ナッジ」で見つけた、自分らしい人生設計


はじめに:「整えなきゃ」と思いながら、気づけば60代に

私はこれまで、「洋服を買いすぎてはクレジット請求に青ざめる」「旅行サイトを見て衝動的に予約してしまう」…そんなことを何年も繰り返してきました。
反省もするけれど、服も旅行も、私にとっては“人生の潤い”であり、“自分らしさ”の表現でもあるのです。

一方、家族は手取りをきっちり用途別の封筒に分けて生活をコントロールしています。毎月、静かに、堅実に。
「私は何をしてきたんだろう」と焦ることもありましたが、自分には自分のやり方があるはず。
そんな私が出会ったのが、「メンタルアカウンティング(心の会計)」と「ナッジ」という考え方でした。


メンタルアカウンティング──“心の財布”で整える暮らし

行動経済学で提唱される「メンタルアカウンティング」は、
人が心の中でお金を“使い道ごとに分類して管理する”という、ごく自然な心理現象のことです。

たとえば、

  • ボーナスは「旅行に使うもの」だと思い込んでいたり、
  • お祝いでいただいたお金は「ちょっと贅沢に使っていい」と感じたり。

合理的ではないけれど、このクセを上手に活用すれば、衝動買いや浪費に“優しくブレーキをかける”ことができます。


私の人生設計──70歳までは働くとして、その先をどう生きるか

私は現在60代。健康面や社会とのつながりのためにも、70歳くらいまでは働くつもりです。
大きな収入ではないとしても、週数日や短時間の仕事を通じて、最低限の生活費+少しの余裕は得られるはず。

では、70代からの人生をどう設計するか
まず、以下のような“数字ベースの目標”を立ててみました。

●前提とする生活モデル(70歳以降)

項目月額(円)
生活費(食費・光熱・雑費)100,000
医療・保険・予備費20,000
趣味・外食・交際費20,000
旅行・娯楽積立(年2回)10,000
合計150,000

年金+貯蓄から、月15万円程度の生活が続けられれば、十分に楽しみを残せる暮らしになります。
これをもとに「老後資金の目標」をざっくり逆算すると、次のようになります:

●老後資金シミュレーション(70歳〜90歳)

  • 必要生活費:15万円 × 12か月 × 20年 = 3,600万円
  • うち年金支給想定(例えば月10万円程度の場合):10万円 × 12か月 × 20年 = 2,400万円
  • 差額:1,200万円(=自力で準備するべき金額)

この1,200万円を60〜70歳の間でどう積み立てるか。
10年間で貯めるなら、年間120万円(月10万円)、
半分は今ある貯蓄から補填するなら、月5万円の積立でOKという見立てになります。


衝動買いのクセに“ナッジ”を使って対策する

私は感情で買い物をしてしまうタイプです。「今だけ!」の表示に弱く、服や旅行を“勢い”で申し込んでしまいがち。
でも、以下の小さな工夫で、自分のクセに優しくストップをかけられるようになりました。

① 48時間保留ルール

  • 欲しくなったものは「すぐ買わずにスクショ」
  • スマホ内に「欲しい物」フォルダを作り、2日後に再検討
    → 不思議と、半分以上は「まあ、いらないかも」に変わります。

② ポチる前に“封筒口座”チェック

  • 実物の封筒ではなく、「目的別口座」や「家計簿アプリ」で予算を管理
  • 服用月予算5,000円、旅行積立月10,000円など、自分で“心の上限”を作っておく
    → 「今月の服予算はあと1,000円…」と思うだけで、買い物欲が冷静になります。

③ ごほうび予算を先に確保する

  • 毎月の初めに「洋服予算」や「1人カフェ代」など“楽しみ予算”をあらかじめ分けておく
  • 我慢ではなく、「ここまではOK」と自分に許すことで浪費が減りました

「整える」ことは、我慢ではない

お金を管理するというと、「我慢」「節制」「面倒くさい」といったイメージがつきものですが、
実際は「安心を手に入れる」「未来の自分を助ける」行為でもあります。

私がたどりついたのは、

  • “今の自分を否定せず”に
  • “楽しみは削らず”に
  • “数値で安心を得る”というスタイル。

完璧じゃなくても大丈夫。メンタルアカウンティングやナッジを活用すれば、
「老後もちゃんと楽しめる私」へ、ゆっくり変わっていけると思うのです。


おわりに:老後は“縮こまる”時期じゃない

70代は、「もう若くない」ではなく、「まだ動ける」時期。
人によっては人生で最も“自由な時間”を手に入れるタイミングです。

その時に、

  • 「お金が心配で動けない」ではなく
  • 「ちゃんと整えてきたから、動ける」状態を目指したい。

そのために、60代の今から少しずつ、「未来の自分に優しい生活設計」をしていこうと思います。

参考になったのはこの本です。