こんにちは。今回は大竹文雄さんの『今すぐできる実践行動経済学』(東京書籍)を参考に、日常生活で役立つ「ナッジ」の考え方をご紹介します。
副題にある「ナッジを使ってよりよい意思決定を実現」というテーマを、中高年の皆さんにもわかりやすくお伝えできたら、と思っています。
行動経済学とナッジって何?
行動経済学は、「人は必ずしも合理的に行動しない」という前提で、心理や習慣がどのように意思決定に影響を与えるかを研究する学問です。
そのなかの「ナッジ」は、選択の自由は残しつつ、そっと背中を押すように望ましい行動を促す工夫のこと。罰則や強制ではなく、無理なく良い選択ができるような仕掛けを指します。
新型コロナの時期にもナッジが活躍
新型コロナが2類だったときのことは記憶に新しいですよね。
日本では「緊急事態宣言」が発令されましたが、諸外国のようにロックダウンのような強制措置はとられませんでした。
そのかわり「努力義務」としてマスク着用やソーシャルディスタンスが呼びかけられました。
マスクや消毒液の設置、感染予防を促すポスターなどはナッジの典型例です。強制ではなく、みんなが自主的に行動しやすい環境をつくることで感染拡大防止に役立ちました。
私たちの暮らしにもナッジはいっぱい
実はスーパーのレジ前に置かれたお菓子は「つい買ってしまう」心理を利用したナッジです。買い物の最後に目につきやすい場所に商品を置くことで、つい手が伸びやすくなるのです。
また、ポイントカードやクーポン制度も、消費者の「お得感」や「得したい」という気持ちをうまく活用し、購買意欲を後押ししています。
銀行の自動積立貯金やスマホの健康アプリの歩数通知なども、ナッジの一種。自動的に良い習慣を作るための工夫として、私たちの生活に溶け込んでいます。
このように暮らしの中にも「ナッジ」はたくさん「しかけてある」のですね。
自分でもナッジを仕掛けてみる
それならば、ナッジは自分でも生活に取り入れられます。たとえば、
- 健康的な食材の写真やメモを冷蔵庫に貼る
- 運動グッズを目につくところに置く
- 小さな達成感を感じられる工夫をする
- 家族や友人と目標を共有して支え合う
こうしたちょっとした工夫で、自然と良い習慣が続きやすくなります。私たちはもうすっかり「大人」なのですから、自分の行動をデザインできたらいいですよね。
この夏の目標「万博」をナッジで楽しく計画的に
私の場合、万博の通期券を買って3か月で5回行く目標があります。
ただ数をこなすだけでなく、もっと楽しみながら計画的に行けるよう、ナッジをとりいれたら、どんな工夫ができるでしょうか。
1. 目標を見える化する
カレンダーに行く日を書いて、行ったらシールを貼るなど進捗を目で見てわかるようにする。
2. 行くたびにテーマを決める
漫然と回数を重ねるのではなく、グルメ、イベント、花火、建物の外観を楽しむなど、毎回違う楽しみ方をテーマにして飽きないようにする。
3. スタンプラリー感覚で多様な目標をつくる
全館制覇やアジア制覇など具体的なチャレンジを設けて、達成感を味わいやすく。公式のスタンプ帳があるので、それを活用すると楽しいですね。
4. ノープランでも楽しめる準備をする
パビリオンの事前予約が外れることも多いのが残念なのですが、これも考え方次第。
逆に「時間に縛られず、その時の雰囲気で楽しむ」「偶然の出会いをみつける」など意識したり、気軽に楽しめるスポットリストを事前にチェックしたりします。例えば、建物の施工、意匠をじっくり見る、なども新しい発見の糸口になりそうですね。
5. 予定化と環境づくりで行きやすく
訪れる曜日や時間を決め、前日に服装や持ち物を準備。行くハードルを下げます。
まとめ
行動経済学のナッジは、強制ではなくそっと後押しする優しい仕組みです。生活の中に少しずつ取り入れることで、健康や節約、趣味の充実など、賢い選択を自然に増やしていけると思います。
この夏の目標も、具体的で楽しい工夫を重ねながら、無理なく続けていきたいと感じています。『今すぐできる実践行動経済学』を参考に、私なりのナッジを日々の暮らしに取り入れてみようと思います。