先日、小学生の引率をしていたときのこと。子どもたちが自然に「男の子だからリーダー」「女の子はお手伝いが得意だよね」と話しているのを聞いて驚きました。普段意識していなかったけれど、これがいわゆる「ジェンダーバイアス」なんだと気づいた瞬間です。

でも実は、こうした考え方は特別なものではありません。多くの人が無意識のうちに「アンコンシャスバイアス」や「ジェンダーバイアス」を持っているのです。

では、この2つのバイアスとは何か? どう違うのか? そして、それに気づき、向き合うためにはどうしたらいいのか? 一緒に整理してみましょう。


アンコンシャスバイアスとは?

アンコンシャスバイアスとは、私たちが無意識のうちに抱く偏見や思い込みのことを指します。意識的に悪意があるわけではなく、過去の経験や文化的背景、社会の影響などによって形成されています。

具体例:

  • 「若い人の方が新しい技術に強い」
  • 「都会出身の人は洗練されている」
  • 「高齢者はデジタルが苦手」

これらの考えは、無意識に「そうだろう」と信じてしまうことが多いですよね。アンコンシャスバイアスは、性別だけでなく、年齢、人種、職業、外見など、さまざまな対象に及びます。


ジェンダーバイアスとは?

一方、ジェンダーバイアスは、性別に基づく固定観念や偏見を指します。アンコンシャスバイアスの中でも、性別に特化したものと言えます。

具体例:

  • 「男性はリーダーに向いている」
  • 「女性は育児が得意」
  • 「男の子は強く、女の子は優しい」

こうした偏見は、子どもの頃から自然に吸収されることが多いです。たとえば、おもちゃ売り場で男の子向けは車やロボット、女の子向けはおままごとセットというように、周囲の環境が固定観念を強化していることがあります。


アンコンシャスバイアスとジェンダーバイアスの違い

項目アンコンシャスバイアスジェンダーバイアス
対象性別を含む幅広い分野性別に特化
影響全般的な思い込みや無意識の偏見性別による特定の役割や期待
「都会出身者は洗練されている」などの無意識の思い込み「男性は力仕事が得意」などの性別に基づく偏見

日常生活に潜むバイアスの影響

無意識の偏見は、日常の中で私たちの行動や判断に影響を与えています。

  • 個人の影響: 自分自身や他者の可能性を狭める。たとえば、「私は女性だからリーダーには向いていない」と思い込むなど。
  • 社会の影響: 職場や学校で不平等を生む原因になる。女性が管理職になりにくい背景にもジェンダーバイアスが関係していることがあります。

バイアスに気づき、向き合うためにできること

バイアスは誰にでもあります。しかし、それに気づき、向き合うことが変化の第一歩です。

1. 自分のバイアスに気づく

  • 無意識のうちに抱いている思い込みを意識化しましょう。
  • たとえば、普段の会話や行動で「性別や年齢に基づく判断をしていないか」を振り返る。

2. 多様な価値観を知る

  • 自分とは違う背景を持つ人々の話を聞きましょう。
  • 書籍やワークショップを通じて新しい視点を得るのも効果的です。

3. ジェンダーにとらわれない言動を心がける

  • 子どもたちに「男の子だからこう」「女の子だからこう」という決めつけをしない。
  • 職場や家庭で役割分担を見直してみる。

おわりに:小さな一歩が大きな変化を生む

アンコンシャスバイアスもジェンダーバイアスも、私たちが無意識に抱く偏見です。それに気づき、少しずつ意識を変えることで、より公平で自由な社会を目指せます。