わたし、中国成都に4日間のツアー参加をしました。ツアーなので、いろいろ手続きが省略されてはいますが、それでも少ない体験からも実際に行かないと解からないことがたくさんありましたので、まとめてみたいと思います。
頼もしい若者の動画に刺激を受ける
海外旅行に行くとしばらくは余韻が残り、動画でその地に関連する作品を観ることが多々あります。
本当は「しまった、やり残した」「ここ行けばよかった」と悔しい想いをすることもあるのですが、次の旅へのモチベーションがあがるので、本能の赴くまま、見たい動画はみることにしています。
ところで先日。中学からの同級生の集まりで海外旅行の話になり、向こうから話を振られて答えただけなのに「そんなに(何回も海外に)行ってて(老後は)大丈夫?」と言われてしまいました。
ハッキリ言って余計なお世話です。
一回いっかい、「階段がきつくなる前にこれてよかった」「体が動くうちに来れてよかった」とひしひしと感じる昨今では、ぜひ旅を先送りせず、行きたいときに行きましょう、といいたい。
おっと、閑話休題。
動画で現金だけの旅行に挑戦している人を見たことを紹介しますね。
行く前から予習でうすうすわかってはいたのですが、中国は本当にキャッシュレスが進んでいます。
2022年の世界主要国におけるキャッシュレス決済比率によると、中国のキャッシュレス化は韓国に次いで2位の83.5%とのこと。この段階では世界一は韓国なんですね…。
私が訪問した時の様子はどうだったか、限定的な体験ではありますがご紹介いたします。
現金派に厳しい現代の中国
結論、現金も使えましたが、相手と場合で異なると感じました。
まず、中国全体の話から。
中国で電子決済(WeChat PayやAlipay)が主流になった背景には、以下のような社会的、技術的な要因があります。
1. スマートフォンの普及
- 中国ではスマートフォンの普及率が非常に高く、都市部ではほぼすべての人がスマートフォンを所有しています。
- モバイルインターネットが発展したことで、現金やカードに代わる便利な支払い手段として電子決済が自然に広がりました。
2. 銀行サービスの地域格差の克服
- 中国では都市部と農村部での銀行サービスの格差が大きく、クレジットカードやATMの普及が十分でない地域がありました。
- WeChat PayやAlipayはスマートフォンだけで利用できるため、銀行インフラが整っていない地域でも使いやすい決済手段として広がりました。
3. QRコード技術の簡便さ
- QRコード決済は、専用の端末や複雑なセットアップが不要で、初期費用がほとんどかかりません。
- 小規模な店舗や屋台、農村部でも導入が容易だったため、急速に普及しました。
4. 政府と企業の積極的な推進
- 中国政府は「キャッシュレス社会」の推進に積極的で、デジタル経済の発展を重視しています。
- 巨大企業(テンセントやアリババ)が電子決済プラットフォームを提供し、積極的にマーケティングを行ったことも普及を後押ししました。
5. セキュリティの向上
- 初期の懸念(ハッキングや詐欺など)はありましたが、顔認証や指紋認証など高度なセキュリティ技術が加わり、安全性が向上しました。
- これにより、現金を持ち歩くリスクを避けるため、多くの人が電子決済を選ぶようになりました。
6. 利便性の高さ
- 1つのアプリで支払い、送金、公共料金の支払い、ショッピングなどがすべて完結する利便性が、中国の忙しい都市生活者に適していました。
- これにより、電子決済は単なる支払い手段ではなく、生活インフラとして定着しました。
こうした背景から、中国では現金よりも電子決済のほうが便利で効率的だと認識され、社会全体に広がりました。旅行者にとっては、現金派での旅がやや不便に感じられる理由の一つと言えるでしょう。
ただ、私たちのような外国人が電子決済を使いにくい事情(銀行口座の有無や登録手続き)もあります。私は今回、アリペイとウイチャットをインストールして、アリペイにはクレジットカードも紐付けしましたが、結果としてクレジットのセキュリティの問題か何かで一度も決済できませんでした。幸い、クレジットカード自体は使えるお店だったので良かったのですが、時間がかかったうえ、「決済できません」というメッセージが出てきたときには徒労感があふれました。
現金だけで利用できた・できなかったサービス一覧
現金だけでは不安
- タクシー: 運転手によります。私たちは2回タクシーを利用しましたが、乗る前に必ず「現金が使えるか」と聞くことが大事。お釣りを持っている方とそうでない方がおられます。電子決済しか受け付けない人もいました。又、QRコードはアリペイとウイチャットが一枚の紙の両面で刷られていることがあるので、どちらかを見せられて自分が対応していなくても、裏面もチェックさせてもらいましょう
- 地下鉄: 券売機によって対応が異なるため、注意が必要。大概の駅には数台券売機が設置されていますが、画面をタッチして表示させると、現金ボタンが滅灯していると現金は使えないということ。あきらめず、周辺の機械をいくつか試すと現金ボタンが点灯しているものもありました。大きな紙幣は使えないので注意が必要。その代りコインが使えますので、こういう機会に使ってしまいましょう。
- 自動販売機: 意外と現金対応しているものが多い。ただし、街角の自動販売機で現金が使えず飲み物を買うのに苦労したという動画を観ていますので、油断は禁物。水分の携行は優先的に考えた方がよさそうですね。
- 成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地のシャトルバス: 私たちはウイチャットのミニプログラムで予約していなかったのですが、現地で紙のチケットを買うことができます。現金で買えました。但し、「お釣りがない」と言われます。同行者の一人は近くの自販機でアイスを買ってお金を細かくしたようです。
- レストランや屋台: 現金で対応してくれる店が多いですが、地元民向けの店は電子決済オンリーの可能性も・・・。逆に、他の動画を観ていたら、「現金しかだめ」というところもあるとレポートしていました。最小限の現金はやはり持っていた方が賢明かも、です。
- マクドナルド:成都パンダ基地で入ってみました。タッチパネル式で注文して支払いはアリペイでしたが、店員さんに聞いてみると「クレジットカード」がカウンターで注文し手使うことができました(現金は聞いていません)。あきらめずに店員に聞いてみましょう。
- 太古里のカフェ:こちらは注文自体がカウンターにあるQRコードから行うしくみでした。やってみましたが、アクセスできませんでした(何かのミニプログラムのようです)。店員さんも忙しそうで声をかけてもなかなかこちらにかまってくれず、あきらめそうになりましたが、「QRコードが使えないから注文を聞いてほしい」というようなことを必死に?伝えたら聞いてくれました。
現金派旅行者へのアドバイス
- 電子決済が使えない場合に備えて、現金を細かく持ち歩く重要性があります。現金がだめ、というよりはお釣りがないという事が原因のようです。「お釣りはいらないよ」というくらいの気持ちがあれば別ですがそうでなければ、両替の時点で細かくしてもらうようにするなどの注意が必要ですね。
- 小さなお店や観光地での現金利用のコツ…これも、お釣り問題がありますね。大きなお札でだすと「端数の細かいお金はないか?」と聞かれます。
- 両替のタイミングと場所の注意点・・・私たちはツアーガイドに両替をしてもらったので、市中の銀行ではしていません。個人旅行の方は空港など時間を問わず両替できるところで早め早めにしておくことをお勧めします。
まとめ:現金だけでの旅行は可能?
- 可能ですが、電子決済全盛の中国では不便を感じる場面も多いというのが実感です。実際私のように、アリペイが現地へ行ったら使えなかった(紐付けしたクレジットカード2種類ともだめでした・・・)ということもあります。日本では実験?出来ないので不安ですよね・・・。
- 現金派でも工夫次第で旅行は楽しめる…例えば、成都パンダ基地から市中の繁華街へのシャトルバスはQR決済だったのですが、切符売り場の窓口の方が自分の携帯で代わりに購入してくださり、その分、現金でその方にお支払いしました。観光地相手が多い場所ではこういったこともしてくださいます。旅の楽しさというかコミュニケーションとしてよい思い出になりました。 你能帮我买一张票吗?(私の代わりに切符を買って頂けませんか?) 我可以使用现金吗?(現金は使えますか?)
余談
少ない経験でしたが、いろいろなお店で、呼びかけてもなかなか応じてくれないことが何回かあり、愛想がよくない、こちらにかまってくれない…というような印象を持ちそうになる場面も正直ありましたが、きめつけは厳禁。逆の立場になったら通じないから対応しようがない、ということなのかもしれません。
できないことのあきらめも肝心ですが、チャレンジしてみることも大切。特に最初に紹介した動画では炎天下に飲み物が買えない、というかなり危険な場面もありました。万が一にそなえ、水分は早めに調達するとか、どなたかに頼むなどの対応も必要と感じました。
あなたの旅がたのしいものでありますように・・・。