GWという特別な休日

ゴールデンウィーク。
特にこれといった予定もなく、なんとなく焦るような気持ちを抱えていました。
周りの人たちが遠出をしたり、充実した時間を過ごしている様子を見ていると、
「わたしも、なにかしなきゃ」と気持ちがざわざわしてしまって。

なぜでしょうね?子供の時のように待ち望んでいるわけではないのに、いざとなると心が動きます。人混みも苦手だから、計画を立てなくなって久しいというのに、やっぱり何かしたくなる・・・。

今朝は、何を思ったか、平日と勘違いして早くに動き出してしまいました。でも、家族がまだゴロゴロしているのをみてやっと休日だと思い出したのです。

平日だと思い込んでいたので「銀行に行って、車屋さんに行って・・・」と、起き出していましたが、あしたにまわします。

空を見ると晴れではありませんが、暑くもならずちょうどいい天候。雨は降らなそうです。

近くの里山に登ってみることにしました。
家から車で10分くらいの里山です。
新緑の中、ゆっくりと山道を歩いていると、鳥の声が心地よく響いて、風もやさしくて。

無心になり、足を前に出すことだけを考えていると
焦る気持ちも、すこしずつ和らいでいくのを感じました。

午後は、思い立って連絡をして仲の良い友人の家へ行くことに。
年齢はずいぶん上なのですが、不思議と気が合って、なんでも話せる存在です。
最近飼い始めたという犬と遊ばせてもらいながら、たわいもない会話をして、のんびりとした時間が流れていました。

そんなとき、ふいに彼女が口にしたのです。

「1年以内に、地元に戻ることにしたの。今、マンションを探しているのよ。この子(わんちゃん)と一緒に暮らすわ」

一瞬、耳を疑いました。
とても驚いたし、正直ショックでした。
わたしには友人が少なくて、こうして気軽に会って話せる存在がいなくなるのは、とても寂しい。

彼女は太平洋側の出身で50年以上こちらで暮らしてきたそうです。
それでも、「故郷の、あの 冬の黄金色の夕陽をまた見ながら暮らしたい」――ずっと、心の片隅にあった想いを、いよいよ叶えることにしたのだそうです。

実は彼女、昨年早々夫さんを突然亡くし、少し落ち着いたところで長年の念願を思い出したのだとか。ずっと言い続けていたけれど、彼がこの地を気に入り居ついてしまっていたそうです。

社会活動で広く活躍している方ですが、すでに各方面に連絡して後始末を少しずつ進めているようでした。

「この場所は、光が足りないのよ」と彼女は笑いました。日照時間が短いということのようです。

わたしはこの県から一度も出たことがないので、正直その感覚はよくわかりません。
でも思い返せば、小さい頃、冬になるたびに祖母が「雪のないところに住みたい」と口にしていたことを思い出します。

生きているうちに、いろんな選択肢がある。
ずっと昔から引っかかっていた想いを、ふと実現に移すこともある。
その姿を見て、わたしも思いました。

私、実はずっと、「一度でいいから、他所で暮らしてみたい」とずーっと思っていたのです。その気持ちは今もオリのように残っています。
仕事もあるし、現実的には難しい部分も多いけれど、
「先延ばしにしているだけかもしれない」と、改めて感じました。

一週間でもいい。極端な話、それでもきっと何かが変わる。
思い切って、計画してみてもいいのかもしれません。

予定がなくても、心が動く日がある。
そして、その心の動きが、小さな行動につながることも、あるのかもしれません。

大人になると、「未来」という言葉が、どこか空々しく思えていました。
けれど今日、友人の言葉をきっかけに、改めて思いました。

自分にとって大切なこと、やってみたいことを考えるのも、悪くない。
未来って、遠くにあるものじゃなくて、ほんの少し心が動いたその先にあるのかもしれません。