マカオは、歴史と未来が交錯するアジア屈指の観光都市。その中心には、世界的に有名な統合型リゾート(IR)が立ち並び、訪れる人々を魅了しています。この記事では、新旧リゾートの特徴や地元経済への影響、観光地としての楽しさを整理してご紹介します。
統合型リゾートの誕生と進化:マカオが世界一のカジノ都市に
マカオがカジノリゾート地として発展した背景には、以下の要因があります
1. 地理的優位性
マカオは中国本土に隣接し、香港からもフェリーや高速バスで1時間という好立地にあります。この位置は、中国本土やアジア全域から観光客を引き寄せる大きな要因となっています。特に、中国の経済発展とともに、富裕層が増加したことがカジノ産業を支える柱となっています。
2. 歴史的背景
マカオはポルトガルの植民地として400年以上統治されており、その独自の文化的遺産とともに、1960年代にカジノ運営が合法化されました。この時期から、カジノ産業が本格的に始まりました。その後、1999年に中国に返還され、「一国二制度」の下で独自の法制度と経済政策を保持しています。
3. カジノ産業の自由化
2002年、マカオ政府はカジノ産業の独占を解消し、外資系企業の参入を許可しました。これにより、アメリカのラスベガス・サンズやMGMリゾーツ、香港系企業などが参入し、巨大な統合型リゾートが次々と建設されました。
新旧リゾートの魅力を徹底解剖
1. ベネチアンマカオ:クラシカルな魅力
コタイ地区の象徴とも言えるベネチアンマカオは、イタリアのヴェネツィアを再現したテーマリゾートです。
- 特徴:運河が再現されたモール、ゴンドラ体験、広大なカジノフロアが魅力。
- おすすめポイント:ファミリーや初めてマカオを訪れる方にも最適な非日常体験が楽しめます。
- 注意点:とにかく広いので、ショッピングモールで迷わないように…。また、ホテル入口がわかりにくい。レセプションではフロアマップもくれますが、あくまでショップガイドであり、ホテルへの連絡通路などはきちんと書いてありません。私たちは、チェックインを先にしてあり、スーツケースも運んでもらうように頼んでおいたので、部屋に最初に行くときはカジノを通るのかと思い、かなりまよいました(メインロビーにはそれらしい看板はありません)。
2. ウィンパレス(永利皇宮 Wynn Palace):コタイ地区の新しい象徴
2016年にコタイ地区でオープンしたウィンパレスは、約4750億円を投じたラグジュアリーなデザインと革新的なエンターテインメントが特徴。LRT「コタイ東」駅からすぐが噴水池です。
- 特徴:
- 噴水ショー:音楽と光、水のダイナミックなパフォーマンス。ベルトラやアゴダなどのオプショナルツアーで夜景見学のオープントップバスを予約すると必ず立ち寄ります。1億ドルをかけたというパフォーマンスは必見です。30分ごとに音楽に合わせたショーが繰り広げられます。ホテルやゴンドラの照明が消えるのが、ショー開始の合図ですので見逃さないように。
- スカイキャブ:6人乗りエアコン付きケーブルカーで噴水池を周回し、空からリゾートを一望できるユニークな体験。スカイキャブ(ケーブルカー)には宿泊客でなくても無料で乗れます。噴水池の前と、ホテルからの2か所が乗り場です。半周して一旦「降りるか?」と係員に聞かれますが、そのまま乗って一周することができます。ホテルの会員か専用チケットを持っている方は自分たちだけでひとつのゴンドラに入ることができます。
- 高級アート:館内には豪華なアート作品が展示され、文化的な魅力も。また、このホテルは随所に生花が飾りつけられ他と差別化しています。全体的に高級感溢れ、落ち着いた雰囲気があります。
- グルメ:ミシュランの星がついているようなレストランもあり、ゆっくり食事が楽しめます。
3. シティ・オブ・ドリームス:次世代エンターテインメントの中心
コタイ地区に位置するこのリゾートは、近未来的なデザインとエンターテインメントショーが売りです。
- 特徴:
- 「ハウス・オブ・ダンシング・ウォーター」:世界最大級の水上ステージショー。投資額2.5億米ドル(290億円)以上、5年間の構想、2年間のリハーサルを経て、「ザ・ハウス・オブ・ダンシング・ウォーター」は、2010年9月16日にシティ・オブ・ドリームス マカオの水舞間シアターで開幕しました。その記念すべき日以来、このショーを見ようと400万人を超えるお客様が水舞間シアターを訪れ、マカオを代表する必見のツーリスト・アトラクションへと成長を遂げました。この世界最大(客観的なデータがない場合は「圧倒的な規模の」などに言い換え)のウォーター・ショーは、シティ・オブ・ドリームス全体のレジャー&エンターテインメントの中でも中心的存在です。
- モーフィアス・ホテル:「Queen of the Unbuilt=アンビルトの女王」という異名をもち、奇抜な建築で知られるザハ・ハディドが設計した未来的デザインの建築が目を引きます。2018年、マカオ・コタイ地区の大型IR(統合型リゾート)「シティ オブ ドリームズ マカオ」にお目見えした新高層タワー型ホテル。40階建ての2つのビルで形成され、ニットのように網目をまとった外観が印象的です。外周の鉄骨が全体を支える、世界初の自由造形による外骨格鉄骨構造の高層建築も話題に。内部には柱がなく、開放感に包まれる広大なロビーの吹き抜け空間を実現。2万8000トンにも上る構造用鋼材が生み出す複雑で緻密に計算された造形美は、万華鏡のように美しく、芸術作品を鑑賞したときのように訪れた人の心を満たします。
- ゲーミング施設とナイトライフ:モダンで若者向けのスタイリッシュな空間が特徴。カジノも洗練されており、マカオ最大級です。
- エントランスでのパフォーマンス:通行人の眼を引くパフォーマンスがくりひろげられています。
4. ギャラクシーマカオ:豪華なリゾート体験
ベネチアンマカオの隣に位置するギャラクシーマカオは、コタイ地区に三番目に開業したリゾート。東京ドーム12個分の敷地に多彩なホテルやレストランが集結。2015年にはさらに拡張部分がオープンし、ファミリー層にも人気の施設。LRT「排角」駅から近いです。
- 特徴:
- 人工波プールやリゾートスタイルのプールデッキ。
- ショッピングモールは高級ブランドからカジュアルまで豊富。
- フォーチュンダイヤモンド…ホテル正面エントランス「ダイヤモンドホール」で30分ごとに観られるショー。
統合型リゾートが地元経済に与える影響
統合型リゾートは、観光客だけでなく地元住民にも大きな影響を与えています。
- 雇用創出:
最新の統計によると、2024年8~10月期の総体失業率は1.7%と、コロナ前の水準に回復しました。ホテルや飲食業、ゲーミング業での雇用が特に増加。 - 外国人労働者との共存:
マカオでは10万人以上の外国人労働者が働いており、観光需要を支える重要な存在となっています。 - ジョブマッチングフェア:
マカオ政府と統合型リゾート運営企業の協力により、2024年だけで1万3000人以上の地元住民が就職を実現しました。
マカオの未来:観光の多様化
今後、マカオはカジノ中心の観光から多様化を目指しています。国際会議の誘致やエンターテインメントショーの充実、さらには歴史的文化遺産の活用も進められています。
ウィンパレスやシティ・オブ・ドリームスのような施設が示す未来像は、単なる「カジノリゾート」ではなく、総合的な観光地としての進化を象徴しています。
まとめ:訪れるたびに発見があるマカオ
マカオは、統合型リゾートが次々と進化し、新しい観光体験を提供する特別な都市です。ベネチアンマカオやウィンパレス、シティ・オブ・ドリームスといった各リゾートは、それぞれ独自の魅力を持ち、訪れるたびに新しい発見が待っています。
ホテル選びは迷いますが、ご自分の目的にあわせて選んでください。巨大リゾートは移動だけでも大変ですので、エリア内の比較的静かなホテル(ロンドナーなど)を選ぶというのも一策ですね。