先日、3泊で上海一人旅に行ってきました。
中高年女性の一人旅。目的は特にグルメでも観光名所制覇でもなく、「ドキドキするような海外体験をしたい!」という気持ちが原動力です。あらかじめ大体の予定を立て、欲張らずに過ごそうと決めていったのです。
でも、帰ってきて「一番印象に残ったことは?」と聞かれると、うまく即答できませんでした。
レンタル自転車に緊張して乗ったことも、空港からのリニアモーターカーがとてつもなく速くて快適だったことも記憶に残っています。
でも……。
やっぱり一番は、「上海ディズニーランドのアトラクション”トロン”」だったかもしれません。
■ ディズニーには行くつもりなかったのに・・・
正直、上海ディズニーは「今回は行かない」と思っていました。
チケットも高そうだし、なにより予習を一切していなかったので、楽しめる自信がなかったんです。また、3泊4日ではディズニーの滞在時間がそれほど取れない、と思っていたのです。
でも、旅の3日目の朝。
予定していたグルメや観光を一通り回って、なんと一日まるっと時間が空いてしまったんです。
その日は朝から雨模様。それもあって「街の中をあてもなくうろうろするくらいなら、思い切ってテーマパークに入ってみようか」と、ふと決意。携帯電話でアプリをいろいろ検索。ディズニーの公式サイトでチケットの販売状況もチェックしてみました。すると、当日でも販売しているではありませんか。
上海の地下鉄にもだいぶ慣れてきていて、乗り継ぎもできそう。
そして決定打となったのが「60歳以上は割引価格で入園できる“老人票”が、外国人にも適用される」こと。
それを知って、「じゃあ行ってみるか」と、話の種、くらいの軽い気持ちで一人ディズニーに「偵察」?に行くことにしました。
■ 雨の平日、そして一人。だからこその贅沢な過ごし方
本当は東京ディズニーランドよりも広いという上海パークですが、私は同じエリアをぐるぐる回るような、のんびりペースで過ごしていました。
朝イチで入場できましたが、どこへ行こうか、何があるかよくわかりません。パスを取れるサイトを見ていて一つだけ劇場に入るものを手に入れました。
その後は、途中、疲れたら一人をいいことに好きなタイミングでレストランに入り、テラス席に座り2回しっかり休憩。
並ぶのが面倒だったらスルー、気になるアトラクションがあればチャレンジ、食も無理しない。
こういう**“誰にも気兼ねしない遊園地の過ごし方”**が、思った以上に快適で……。
中高年のソロディズニー、実はめちゃくちゃアリです。
■ ずっと気になっていた「トロン」へのチャレンジ
そんな中でどうしても気になっていたのが、アトラクション「トロン・ライトサイクル・パワーラン」。
これは以前、『マツコの知らない世界』で浅倉大介さんが紹介していたのを見て以来、「なんて近未来的で美しい世界!」と、心を奪われていたもの。

実際に映画『トロン:レガシー』も観てみたのですが、10年以上前の作品とは思えないビジュアルの完成度、音楽、世界観……とにかく魅了されました。
でも……私は絶叫系があまり得意ではないんです。
それでも「迷ったらやってみよう」という自分ルールのもと、現地でも何度も口コミをチェックしてぐずぐず悩みつつ……
最終的には、「2分ほどのアトラクションだし、足も地についてるし、落ちる系ではない」と自分に言い聞かせて、勇気を出して列に並びました。
このアトラクションは「トゥモローランド」というエリアにあります。中国語では「明日世界」と表記。なんだか英語より身近に感じられます。

実はこのエリア、行ったり来たり3回くらい出入りしました。トロンも横目で他の人が乗っているのを垣間見ていたのです。ただ、映像で見た限り、絶対暗くなってからライトアップされた方が綺麗。私は夕暮れ以降になるまで待ちました。
■ 「うつ伏せバイク」体勢から始まる、未知の加速体験
トロンのライドは、一般的なジェットコースターとは違って、バイクにまたがるような姿勢で乗ります。
胸にバーが降りるのではなく、背中側からパッドが降りてくる構造。でも、そこまで押し付けるわけではなく、「支えてますよ、はみでたりしないですよ」という程度です。
手は前方のハンドルを握り、ほぼうつ伏せに近い体勢になります。
慣れた人は背中を少し起こして乗るそうですが、私は無理せずしっかり伏せて(笑)。
ちなみに、「後ろの席は前のライトの軌跡が見えて綺麗」という口コミを思い出し、たまたま後ろから2番目に乗れたのは幸運でした!
結果は……
とにかく速い!(時速100kmほど出ているそうです)
重力に引っ張られる(押し付けられる?)感覚はありますが、ふわっと浮くというより「ものすごい加速で駆け抜けていく」感覚。
横揺れは多少ありつつも、「放り出されるような怖さ」はほとんどなく、美しいイルミネーションの中を走る爽快感が勝っていました。
■ 映画を観ていて良かった。知らなくても楽しめるけど……
ディズニーのアトラクションは、「元になっている物語を知っていればいるほど、没入感がすごい」とよく言われます。
正直私は、ディズニー映画をほとんど見ておらず、キャラクターにも疎いです。あの「アナ雪」ですら見ていない・・・。
そんな私にとって、上海ディズニーのアトラクションはややハードルが高く感じられたのですが、「トロン」だけは別でした。
映画を見ていたおかげで、あの未来的な光の世界に自分が“入り込んだ”ような気持ちになれたんです。
「映像の中のあのシーンが、いま体験として目の前にある!」という喜びは、なによりのご褒美でした。
■ 旅の思い出って、じわじわくるもの
ライド終了後、ちょっと酔ってしまい、足取りが少しふらつきましたが、笑顔で「やったー!」とパークを後にした私がいました。
たった2分。でも、あの緊張と興奮と感動の濃さは、他の何時間分にも勝るかもしれません。
旅先で、予定していなかった場所に行って、予定していなかったことをやってみる。
それがこんなに心に残るとは、自分でも驚きでした。
■ おわりに:中高年女性の一人旅にも「テーマパーク」はあり!
今回の旅を通して思ったのは、「中高年女性の一人旅にも、ディズニーランドはあり」だということ。
むしろ一人だからこそ、自分のペースで、無理せず、心惹かれるものにだけ素直に向き合える。
トロンを通して、“知らない世界に飛び込む”楽しさを再確認できました。
皆さんも、もし旅先で予定が空いたら……そして少しの勇気が出たら、ぜひその先にあるドキドキ体験に飛び込んでみてくださいね。
