久しぶりの美術展で
久しぶりに晴れた日曜日、心から楽しみにしていた美術展へ向かいました。
今回訪れたのは、金津創作の森美術館で開催中の長坂真護展。
一歩足を踏み入れた瞬間、空間の空気がふっと変わり、作品の熱量に包まれるような感覚に襲われました。
この記事では、
- 展示の見どころ
- 特に印象に残った空間
- 作家の背景とメッセージ
- 実際に行って分かった“体験としての魅力”
をまとめています。
これから訪れる方の参考になれば嬉しいです。
■ 空間全体で魅せる展示構成
展示室に入ると、作品が“置かれている”のではなく、空間そのものが作品の一部になっていることに驚かされました。
壁も天井も、そして野外までも含めて、作家がこの場所と丁寧に向き合ってきたことが伝わってきます。
今回の個展は、美術館での開催としては上野に続く二度目。
地元への“凱旋”という意味もあるそうで、その背景を知ると、作品がこの場所に揃っていること自体がひとつの物語のように感じられます。
■ ガーナの空気を持ち込んだ空間
会場の中でも、特に印象深かったのがガーナの街並みをイメージした部屋。
足を踏み入れた瞬間、空気が変わるあの感じはぜひ現地で体感してほしい独特さでした。
長坂さんが現地で見て、感じて、胸に刻んできたものが、空間全体からこちらに流れ込んでくるようです。
■ 越前和紙 × “月”の作品たち
福井の越前和紙に描かれた“月”をモチーフにした作品もずらり。
和紙の柔らかさと、長坂さんの線や色が溶け合って、どれも静かな光を放っていました。
今回の展覧会では、展示と販売を同時に行う挑戦もされています。
作品の前に立つと、「自分のそばに置きたい」と自然に思わせる温かさがあります。
購入は作品によって可能で、その選択が誰かの暮らしを支えることにもつながるのだと知り、アートの循環の力を感じました。
■ 長坂真護を支える思想 ― サステナブル・キャピタリズム
長坂さんの作品の根底には、サステナブル・キャピタリズムへの強い意識があります。
ガーナで目にした資源の偏り、経済のゆがみ、生活の不均衡…
それらの現状を、アートを通して可視化し、よい循環につなげようとする姿勢が一貫しています。
「美術は人を救うためにある」という言葉も、作品を前にすると静かに心に落ちてきます。
■ 偶然出会った制作風景
会場では、制作途中の長坂さんにも偶然お会いしました。
壁一面の大作に向き合う姿は、まるでご自身も作品世界に溶け込んでいるかのよう。
その集中の気配が作品にも宿っているように感じられました。
昨年末に神経麻痺を患い、右手が思うように動かないことがあると知ったのは、今回の展示や報道が初めて。
けれど、目の前で制作している姿からは、そんな支障をまったく感じさせません。
ただ作品と真剣に向き合う姿勢だけが、そこにありました。
■ 私が思い出した“もうひとつの個展体験”
実はこの春、書家・前田鎌利氏の個展で展示のお手伝いをしたことがあります。
作家が自ら会場を歩きながら作品を配置していく貴重な時間を見て、
「観客がいて初めて、個展は完成するのだ」という感覚を覚えました。
今回の長坂展でも、まさに同じものを感じました。
作品 × 空間 × 観客が揃ってはじめて、世界観が立ち上がる。
そんな“完成の瞬間”に立ち会った気がします。
■ 家族と共有できた時間も宝物
今回は家族を誘って訪れたのですが、それぞれが何かを受け取りながら歩いている様子を見て、同じ空間を共有できた嬉しさを実感しました。
この美術館は自宅からは少し遠いのですが、また必ず訪れたいと思わせる力があります。
■ 来年の小さな目標
長坂さんの講演を聞き、作品の背景を知り、実際に作品の熱量を浴びたことで、
来年は市内の美術館企画展をすべて巡るという小さな目標ができました。
展示を通して受け取ったメッセージを、自分の生活の中でも育てていきたい。
そんな気持ちになれた一日でした。
▼ これから訪れるあなたへ
- 空間ごと味わう展示なので、時間に余裕をもって
- ガーナの再現空間は必見
- 和紙作品は光の角度で表情が変わります
- 館内外の写真スポットも豊富
美術が好きな方はもちろん、普段あまりアートに触れない方にもおすすめです。


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