― 笑顔は性格ではなく損得のツール ―
先日、車のルームミラーに映った自分の顔を見て、思わず息をのみました。
口はへの字、眉間は少し寄っていて、元気のない表情。これでは、もし楽しい話が目の前にあっても、きっと逃げていってしまいそうだ……と。
私、昔から「おかしくもないのににこにこなんてできない」というタイプでした。
曲がったことは嫌い、言ったことは必ず実行する。だからこそ「その場限りの笑顔」や「耳当たりのいい言葉」とは縁がない人生でした。
ところが定年後、窓口で地域の方と接する仕事を始めると、ある現実に気づきます。
にこにこしている人は、それだけで得をしている。
「にこにこ勝ち」の現実
中身は同じでも、笑顔ひとつで相手の反応がまるで違います。
ちょっとした笑顔があるだけで、相手が安心し、会話がスムーズになる。
真面目で誠実なだけでは伝わりにくいことも、笑顔を添えると格段に伝わりやすくなるのです。
「若い人は自然ににこにこできるけど、私は無理」と思うかもしれません。
私もずっとそう思っていました。でも、ここで発想を変えました。
笑顔は性格ではなく、戦略。損得で割り切って使えばいい。
笑顔の成果=損得で考える
「損得」だなんて、ずいぶん直球だ、とおしかりを受けてしまうかもわかりませんが、中高年になると
ついつい「もうどうでもいいや」と思ってしまいがち。これからパートナーを見つけるわけでもないし、出世したいわけでもない。人に媚びたりするのも面倒と思いがち・・・。
でも、ちょっと待ってください。周りの「なんとなく感じのいいひと」、やっぱり笑顔ですよね?
そうです。「スマイルゼロ円」なんです。
実際にやってみると、少しの笑顔で得られる効果が見えてきます。
- 摩擦を減らせる
相手が身構えず、不要な衝突や誤解を避けられる。 - 対応がスムーズになる
安心感を与え、説明や依頼が通りやすくなる。 - 印象で覚えられる
内容より印象が残るため、協力や信頼を得やすい。 - 自分の気持ちが軽くなる
口角を上げるだけで脳がリラックスし、イライラや疲れも減る。内面からの変化に気づくようになります。
ほんの少しの笑顔で、これだけの「得」があるのです。
無理して性格を変えなくても、ちょっとした戦略で人間関係がラクになります。
「余裕」としての笑顔
ポイントは「媚び」や「ごまかし」にしないこと。
誠実さを保ちながら、余裕を見せる小さな笑顔で十分です。
私の場合は、
- 朝の「おはようございます」の一瞬だけ口角を上げる
- 窓口で「お待たせしました」と言うときに目元をやわらげる
これだけで、驚くほどラクに会話が進むようになりました。
「ずっと笑顔でいなきゃ」と思う必要はありません。
ポイントを絞って戦略的に使う。それが大人の笑顔です。
まとめ
60代からの「ビジネスにこにこ」は、無理に性格を変えるものでも、自分を殺すものでもありません。
損得で考えて笑顔を使う
これなら誠実さも失わず、必要なときに余裕を見せることができます。
ルームミラーに映った自分の顔を見てため息をつく日もあるかもしれません。
でも、ほんの少し笑顔を足すだけで、人生は驚くほどスムーズに進むことがあります。
私自身もまだ試行中です。
一緒に少しずつ、「余裕を持った笑顔」の使い方を探していけたらいいな、と思っています。
参考図書(巻末リスト)
戦略としての笑顔を考えるうえで参考になりそうな本です。
興味があればぜひ手に取ってみてください。
- 『接客の一流、二流、三流』(日経ビジネス人文庫)
- 『また会いたいと思わせる人の38のルール』(幻冬舎)
- 『人は見た目が9割』(新潮新書)
- 『影響力の武器』(誠信書房)
- 『顔が変わると人生が変わる たるみ・くすみ解消セルフケア: 1日3分で若々しい表情になる!東洋医学で運気まで上がるセルフマッサージ (たんぽぽ堂出版) 』


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