■ 長坂真護×GLAY TERU トークショー ― ガーナの街並みから始まった物語(前半)

文化・アート

福井県の「金津創作の森美術館」で開催されている「長坂真護個展」のスペシャルイベントとしてGLAYのボーカルTERUと長坂氏のトークショーが開催されました。実はこの二人、4年ほど前から交流があり、しばしばいんすたなどでお互いの作品やイベントを告知する仲でもあります。今回は、この貴重なイベントを視聴する機会に恵まれた私がトークの様子をご紹介していきます。

目撃者としての私

会場に着いた瞬間、空気はやはり上気していると感じた。
しかし、期待の気配はあるのに、妙に静かで、どこか落ち着いている。
若い人も年配の方も、そしてひと目でGLAYファンだとわかる人も、思い思いの表情で席に座り、始まりの時間を待っていた。
その空気の中に自分も紛れ込んでいることが、まず嬉しかった。

やがて登場した長坂さんは、終始テンション高め。
GLAYの「ジロー」さんの髪型そのままの姿で現れ、会場を一気に和ませた。
その髪型を手がけたのは長年GLAYのヘアメイクを担当してきたタニヤン。GLAYファンにはお馴染み。この日は福井出身の彼も会場にいて、ちょっとした凱旋の雰囲気すらあった。

トークショーは、長坂真護さんの個展の一部「ガーナの街並み再現」から話が始まった。
実際にガーナから持ち帰った黒い壁や屋根、銅線を燃やす炎の音や色まで再現した空間。
11月3日には、現地のアグボクボロジーから来日した方が訪れ、
「ガーナから来たのに、まるで自分の街に戻ってきたようだ」と語ったという。
「これまで個展を訪れた人の心もぐっと掴みたい」と挑んだ空間だったのだ。

個展は会社の仲間たちと二週間かけて設営したという。
12時間作業が続く日もあった。
会場に来てから描き上げた作品もあれば、開催中も手を動かし続けている作品もあるらしい。
「日本で初めて個展を開いたころの感覚が戻ってきた」と仲間と語るほど、気持ちの昂ぶりがあったようだ。


■ “月”の大作が生まれるまで

話題は、大きな「月」の絵へ移った。
2024年12月、突然の神経麻痺で右手が動かなくなったときのことを、長坂さんは静かに、しかし丁寧に振り返った。

友人の見舞いに行った後すぐに自分も40度を超える高熱を出し、医師から告げられたのは「ウイルス性の神経の病気」。
治るまでには2〜3年かかる、と言われた。
しかし、今回の個展は何年も前から決まっていた。
「本当にできるのか?」と問われたが、他の仕事を抑え、準備を続けたという。

右手が動かないなら、自分の体で筆になればいい。
そう思い、頭から墨をかぶり、紙の上を転がった。
作品には足跡や手の跡がそのまま残っている。墨が一夜を経て紙に乗って色彩を帯びているのを見た時、「お前は絵を描け」と神様に言われたように感じた、とも語った。

さらに2025年8月、ガーナに向かう直前にはコロナに罹患したことも話してくれた。
何度もつまずきながらも、表現は止めない。
その姿勢そのものが、彼の作品の奥深さになっているのだと、会場の空気が教えてくれるようだった

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