「時間を溶かす」不安を捨てる。60代、無職目前で『一生モノの腕』を買う

「退職して時間ができたら、何をしよう」 そんな期待の裏側に、どこか「目的もなく時間を溶かしてしまうのではないか」という漠然とした恐怖がありました。

その不安を打ち消すために、私は一つの大きな決断をしました。 10年以上通い続けているタイ古式マッサージの技術を、正式に習得することにしたのです。

「外に出る用事」が、一日にメリハリをくれる

実際に始めてみて気づいたのは、技術そのもの以上に「2時間外に出る用事がある」ことの効能です。

片道40分の道のり。いつもと違う曜日、違う時間に街を走ると、景色が全く違って見えます。働き詰めの頃には気づかなかった街の呼吸や、行き交う人々の様子。 ただ家にいて時計を眺めるのではなく、自分の意志で目的地へ向かう。それだけで、無職期間に陥りがちな「社会から切り離された感覚」が消え、生活に心地よいリズムが生まれるのです。

「信頼」という最短ルート

初日の講習を終えた今の正直な感想は、「やばい、最後までついていけるかな……」という戸惑いです。 座学のあとの実技では、今お手本を見せてもらったのに、いざ自分がやるとなると押さえる場所もすぐ忘れるし、自分の腰は痛くなるしで、前途多難。

それでも、心は折れていません。それは、講師を心から信頼しているからです。 私が客として10年あまり、その腕に身を委ねてきた師匠。私の体のクセを誰よりも知っているのはもちろんですが、彼自身もここまでになるまでに様々なシーンでたくさんの施術をし、紆余曲折を経て今も現場に立ち続けるプロ。 そんな「すでに信頼関係がある人」から、直接技術を継承できる。これほど贅沢で、効率の良い学びはないと感じています。

「ワットポー認定」という形になる自信

今回の挑戦の先には、本場タイ・バンコク「ワットポー」の認定資格という明確なゴールがあります。 師匠自身がその認定を許されている方なのです。実は私自身も以前、タイに行った際、実際にこの学校の看板をみています。それが、日本の、しかも地元で受講できるとはなんてラッキーなんでしょう。

これはもはや単なる趣味の習い事ではなく、国際的にも知られる証を手に入れること。お金は当然それなりにかかりますが、その投資は、その証を「一生モノの資産」として自分に刻むための、未来への仕入れです。

実は無職になるという宣告を受けた直後は、とにかく支出が「悪」のような感覚におそわれました。求職はしていますが、今現在一通の合格通知も手にしておりません。そんな中での受講は決断なしでは進めませんでした。

「思い切って飛び込まないと、何も始まらない」

そう自分に言い聞かせ、痛む腰をさすりながらも、私は今、新しい自分を構築するプロセスを楽しんでいます。

あなたも新しいチャレンジを

新しいことを始めるのに、遅すぎることはありません。 大切なのは、素晴らしいカリキュラムを探すことではなく、「この人から学びたい」と思える信頼の置ける相手を見つけること。 そして、例え2時間でも、家を出て「自分のための時間」を主体的に使うことです。 「時間を溶かす」側から、「時間を使いこなす」側へ。 あなたの20年の積み重ねの中に、未来の扉を開く鍵が隠れているかもしれません。

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