前回の記事で私は大いに迷走しながら、美容医療を受けることに決めたことを書きました。今回は気になる資金繰りについてまとめました。
見た目をとるか倹約をとるか
あれこれ延々説明していただき、結局10年先を見据えた治療プランが現実味を帯びてきたときのこと。当然気になるのはその金額です。
提示された金額は、決して「お小遣いからサッと出せる」ような数字ではありませんでした。覚悟はしていたものの、やはり一瞬息を呑みます。
支払いをどうするか頭の中で計算し、サバサバとした語り口の担当医に何気なくこう伝えました。
「支払いは、定期預金を解約して準備します」
すると、それまで冷静でサバサバしていた医師が一瞬ピタッと動きを止め、「え…?」と心底驚いた顔をされたのです。
その反応を見て、今度は私の方がとまどいました。
「あれ?やっぱり美容医療って贅沢品?」「お金は気にしない人のもの?」
最初は「ここに来る人たちは普段の普通預金からスマートに払う富裕層ばかりで、定期を崩すなんて私は場違いだったのだろうか」とおおいに引け目を感じました。
美容クリニックといえば、どこか「美意識の高い一部の人が通う特別な場所(別世界)」というイメージが私の中にもあったからです。
しかし、様々な症例をお聞きし、写真も拝見するかぎり、そこにはさまざまな方がいらっしゃいました。火傷(やけど)の痕を治療している方、深刻なニキビ跡に悩んで通われている方……。決して「贅沢」や「道楽」などではなく、それぞれの痛みを抱え、切実な思いでドアを叩いている人たちの日常がそこにはたしかにありました。
お金の現実に直面する
「自分の悩みは単なる加齢による見た目の変化にすぎない。そのために定期預金まで解約するのは、分不相応な贅沢なのではないか」
そうやってずっと自分を責める気持ちがありました。けれど、それぞれの切実な悩みに向き合う人たちの姿を見ているうちに、ふと我に返ったのです。
「鏡を見るたびにため息をつき、自信をなくしていく自分を変えたい。もう一度、前を向いて笑えるようになりたい」
その想いもまた、今の私にとっては十分に切実なSOSだったのだと。大げさな自己正当化はできないけれど、「これからの自分のために、少しだけ背伸びをしてもいいのかもしれない」と、静かに自分を許せたような気がしました。
さて、しかし、です。
このクリニックに来る多くの富裕層(?)の方々は、日常の普通預金や動かせる余剰資金からスマートに支払われているのでしょう。医師にとっても、「定期預金を崩してまで来ている庶民」は完全に想定外だったのだと思います。
で、私は庶民です。資金源の捻出を考えずにクリニックに行ったのも無謀ではありますが、お金の現実に向き合うことが必要になりました。
医療ローンと株には手を出さない!庶民の冷徹な資金ルール
高額な費用を前にすると「どう工面するか」で頭がいっぱいになりますが、庶民だからこそ「お金の出しどころ」を間違えると後で痛い目を見ます。
医療ローンは絶対NG
クリニックで勧められることもある「医療ローン(分割払い)」ですが、個人的にはまったくおすすめしません。 「綺麗になって前を向くための美容」なのに、毎月口座からお金が引き落とされるたびに「ああ、まだ支払いが残っている…」と重荷を感じては本末転倒です。無駄な金利手数料まで払うなんて、庶民の感覚としてはもったいなさすぎます。
「どうせ生活費じゃないから」と株を売るのも違う
「生活費じゃないから」と、運用中の株式や投資信託を強引に切り崩すのも危険です。 投資は相場もの。「美容医療の支払い期日」という自分の都合で売却すると、たまたま相場が下がっているタイミングに当たって無駄な損切り(損失)を確定させてしまうリスクがあります。運用資金と美容資金は絶対に混ぜてはいけません。
今こそ使うべきは「低金利で放置していた定期預金」
では、どこからお金を捻出するのが正解なのか? 悩んだ末に行き着いたのが、「超低金利の時代にとりあえず預け、存在すら忘れかけていた定期預金」でした。
- 元本割れのリスクがない(株と違って減らない)
- 銀行に置いておいても利息はほぼゼロ(増えもしない)
- 借金(ローン)ではないので金利負担もゼロ
ただ銀行の金庫に放置しておくだけなら、「これからの10年を前向きに、自分らしく生きるための資金」として今こそ使う。これこそが、庶民にとって最もリスクがなく合理的でお賢い選択でした。
「贅沢」への罪悪感を「10年先の自分への投資」に変える
定期預金を解約する手続きをするとき、長年コツコツ貯めてきた安心感を削るような葛藤や、「この年齢で自分だけの見た目に大金を使うなんて贅沢ではないか」という罪悪感がなかったと言えば嘘になります。
しかし、自分自身の心と向き合ったとき、腹がくくまりました。
これから子どもを育てるわけでもなく、誰かに迷惑をかけるわけでもない。目先のイベントのためだけに使い切る「刹那的な浪費」ではなく、10年先の自分が誇りを持って生きていくための「根本的なお手入れ」です。
眠っていた定期預金を解約したお金は、単なる出費ではなく、「これからの10年、自分を好きで居続けるための覚悟の証(自己投資)」なのだと腑に落ちました。
美容医療のお金に悩むあなたへ
医師に絶句された庶民の私から、お金の準備で迷っている方へ伝えたいのは3つです。
- プロとの金銭感覚の差に気後れする必要はない(向こうの日常は、こっちの非日常)
- 医療ローンや株の売却など、リスクのある資金繰りはしない
- 眠っている固定資金(定期等)を使い、「10年先の自分」への投資と割り切る
大金を動かす決断には勇気がいります。しかし、自分のリスクを最小限に抑え、腹をくくって一歩を踏み出した経験は、間違いなくこれからの人生を支える大きな強みになります。
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