ミッフィー70周年展に行って考えたこと。絵本は誰のためのもの?

ミッフィー70周年の巡回展を見に行きました。福井が最後の会場ということもあり、ペアチケットを購入し、家族とでかけました。

ミッフィーといえば、あのシンプルな顔と、はっきりした色使い。キャラクターとしては昔から知っていましたが、今回の展示を見て、私の中で少し見方が変わりました。

ミッフィーは、絵本より先にキャラクターだった

正直に言うと、私はミッフィーを「絵本の主人公」というより、まずキャラクターとして認識していました。

雑貨やグッズで見かけることも多いですし、ミッフィーという名前もすっかり定着しています。子どものための絵本というより、かわいらしいキャラクターとして親しんでいたのかもしれません。

ところが展示では、作者ディック・ブルーナが、わが子のために絵を描き始めたことや、子どもたちに絵本を自分自身のものとして感じてほしかった、という趣旨の話が映像で紹介されていました。

それを見て、改めて考えました。

絵本は、大人が子どもに読ませるものなのか。それとも、子ども自身が自分の世界として楽しむものなのか。

もちろん、どちらか一方という話ではありません。でも、この違いは案外大きいような気がします。

一緒に行った子どもは、読んでいなかったかもしれない

今回、一緒に展示を見た子どもが、「小さい頃、ミッフィーを読んでいなかったかもしれない」と話していました。

そうなのか、と少し意外に思いました。

世代を超えて知られているキャラクターだからといって、誰もが子どもの頃に絵本を読んでいたわけではありません。

知っていることと、読んだことがあること。そして、読んだことがあることと、その本が自分の思い出になっていること。

それぞれ、別の話なのですね。

展示で気になった多様性

今回の展示でもう一つ、印象に残ったのが多様性についての解説です。

原画や展示に添えられた解説には、多様性についての気づきなどが詳しく書かれていました。ブルーナが生まれ育ったオランダという国は人種など多様性の多い場所だと紹介されていました。損も上で、絵本の中に白いうさぎと、色の異なるうさぎが一緒に登場するものがとりあげられていたり、耳が折れているお友達のことを扱ったものがあったのです。色の異なる、暗い色のうさぎはメラニーだったのかもしれませんが、ここは記憶が曖昧なので、断定はできません。

私は、ミッフィーの絵本というと、シンプルな絵と、子どもの日常を描いた物語という印象を持っていました。ところが、展示の解説を読んでいると、絵の中に描かれていることや、登場人物のあり方について、いろいろな視点から考えることができるのだと気づかされました。

しかも、解説は単に作品の説明にとどまらず、多様性について考えるきっかけを与えるもので、私には結構メッセージ性が強いと感じられました。

今回の展示は、福井が最後の巡回会場でした。ただし、私はほかの会場には行っていません。福井会場で見た展示が、全国の巡回展で基本的に共通するものなのか、それとも会場によって解説や展示内容に違いがあるのかは、今のところ分かりません。一部、図書館の絵本コーナーなど、会場独自の要素もあるようです。このあたりは、もう少し確認してみたいところです。

また、私が見た範囲では、多様性を正面から扱った翻訳絵本や、それに関連するグッズが、展示の中心に並んでいるという印象はありませんでした。

ただし、ここは少し分けて考える必要がありそうです。展示の解説には多様性についてのメッセージがしっかり込められている。一方で、関連する絵本の紹介は、図書館との連携による別のコーナーにありました。私が見た限りでは、そのテーマと関連書籍の紹介が、展示の中で一体となって展開されているという印象ではなかったのです。

もちろん、これはあくまで会場での私の見方です。関連作品が存在しないという意味ではありませんし、展示の構成を評価するには、もう少し情報が必要でしょう。

それでも、今回の展示を通じて、ミッフィーの絵本がどのような価値観を伝え、どのような視点から読み直すことができるのか、興味が湧きました。

絵本そのものに描かれていることと、それを紹介する側が添えるメッセージ。その両方に目を向けることで、今までとは違った読み方ができるのかもしれません。

読み聞かせにかかわる仕事をするようになって

私は仕事で、読み聞かせの様子を見学し、その内容をまとめる機会があります。

以前は、絵本について、そこまで深く考えていませんでした。読み聞かせは大切な活動だと思っていても、どのような視点で本を選び、子どもにどう届けるのかということまでは、十分に考えていなかったように思います。

ところが、こどもの保育に興味をもってからは、絵本や児童文学についても、いろいろな疑問が出てきました。

同じ物語でも、翻訳者が違えば、言葉が変わる。言葉が変われば、子どもが受け取る印象も変わるかもしれない。

読み聞かせをする大人が、どこまで意識しているのだろう。

そもそも、子どもにとってよい絵本とは何だろう。

以前なら、こんなことを考えもしなかったと思います。

ミッフィーを、もう一度読んでみたい

展示を見て、ミッフィーの絵本を改めて読んでみたくなりました。

それも、ただ懐かしむためではなく、翻訳の違いや、絵と言葉の関係を意識しながら読んでみたいのです。

絵本は子どものもの。そう思っていたところがあります。

けれど、子どものために作られた本だからこそ、大人が読み直すことで、新しく見えてくるものもあるのかもしれません。

まずは、うさこちゃんとミッフィー。二つの名前を手掛かりに、絵本の世界を少し掘り下げてみようと思います。

▶ ミッフィー展で気づいた絵本の魅力:翻訳の違いと大人からの学び直し

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