福井銘菓「五月ヶ瀬」を深掘り!

半世紀愛され続けるピーナッツ煎餅の秘密

福井のお土産といえば、まず名前が挙がるお菓子のひとつ「五月ヶ瀬(さつきがせ)」。

スーパーでも土産物店でも必ずと言っていいほど棚に並んでいて、県民にとっては「見慣れすぎて逆に語られない」存在かもしれません。

今回はあえてこの五月ヶ瀬を深掘りしてみました。

そもそも「五月ヶ瀬」ってどんなお菓子?

正式名称は「**名代石窯焼煎餅 五月ヶ瀬**」。

カンカン帽のような丸い形をした、ピーナッツ入りの堅焼き煎餅です。

「煎餅」と名乗ってはいますが、材料にマーガリンや卵をたっぷり使っているため、和菓子というより洋菓子に近い、香ばしくて甘みのある独特の味わいが特徴。

どこを割ってもピーナッツがぎっしり詰まっていて、ザクッとした食感とボリューム感は、他県の似たようなピーナッツ煎餅とは一線を画すと評判です。

個人的にうれしいのが、この**絶妙な硬さ**。「煎餅」と聞くとガリッと硬すぎるものを想像しがちですが、五月ヶ瀬はそこまで硬すぎず、かといってホロホロと崩れるほど柔らかいわけでもない

。噛んだときにちょうどいい歯ごたえで留まってくれる、あの塩梅が地味に絶妙なんです。生地自体はどちらかというとクッキーなのに、名乗りは「せんべい」というのも、よく考えると不思議なところ。豆(ピーナッツ)がごろっと入っている分、噛むほどに香ばしさが立つのもポイントで、甘さもくどすぎないので、コーヒーにもお茶にもどちらにも合わせやすい一枚です。

サイズもそこそこあるので、開けたときにきちんと「もらった感」が出るのも地味に効いています(余談ですが、昔食べていた記憶と比べると、心なしか少し小さくなった気もするのですが……気のせいでしょうか)。

誕生は昭和48年、発売は昭和50年

五月ヶ瀬を作っているのは、福井県坂井市に本社を置く「株式会社五月ヶ瀬」。

– **1973年(昭和48年)9月1日** 坂井郡坂井町新庄で創業- **1975年(昭和50年)1月** 「五月ヶ瀬煎餅」販売開始- **1977年(昭和52年)** 株式会社化- **1991年(平成3年)** 坂井市丸岡町(現本社所在地)に工場建設- **1998年(平成10年)** 本社を工場と同じ場所に移転発売から来年でちょうど50年。まさにロングセラーと呼ぶにふさわしい歴史を歩んできたお菓子です。

こだわりは「石窯」と厳選素材

五月ヶ瀬のおいしさを支えているのは、自社開発の石窯。

一枚一枚を型に入れてじっくり焼き上げることで、遠赤外線効果によりピーナッツの良質な油脂がじわじわと生地に染み出し、あの香ばしい焼き上がりが生まれるのだそうです。素材へのこだわりもかなりのもの。- 小麦粉は**4種類をその年の出来に応じて独自配合**- 卵は**福井県産**のものを使用- ピーナッツは南アフリカなど産地のサプライヤーから、旨味の凝縮した小粒の一級品だけを選りすぐって仕入れ「シンプルな製法だからこそ、配合や焼き加減のノウハウがものを言う」というのが、長年愛され続けている理由のようです。

モンドセレクション、なんと32年連続受賞

地味に(?)すごいのが、世界的な食品コンクール「モンドセレクション」での実績。2026年度は最高位の「GRAND GOLD(優秀品質最高金賞)」を受賞し、これで**32年連続の受賞**とのこと。国内はもちろん、海外の品評会でも高く評価され続けているお菓子だったのは、正直知りませんでした。

「ありふれている」のに、結局これに行きつく

正直なところ、地元にいると「五月ヶ瀬?ああ、あれね」というくらい見慣れた存在で、わざわざ選ぶお菓子という感覚は薄れがちです。ところが手土産を選ぶ段になると、結局これに戻ってくる——そんな経験がある人は多いのではないでしょうか。

理由のひとつは、**軽さと日持ちのバランス**。

賞味期限はおよそ120日と長めで、堅焼きなので型崩れもしにくく、箱自体もかさばらない。持ち歩く側にも渡す側にも負担が少ないのは、手土産として地味に大きなポイントです。しかも1枚あたりのサイズがそこそこあるので、個包装のまま配っても「もらった感」がちゃんと出る。

職場や親戚回りの**ばらまき土産**としても見映えがするというのは、地味だけど侮れない強みだと思います。

この立ち位置、名古屋でいう「ゆかり」(坂角総本舖のえびせんべい)に近いかもしれません。ゆかりも名古屋駅の売店では常に売上トップクラスで、「これを贈っておけば間違いがない」という絶大な信頼を得ている定番中の定番。

派手さでは新顔のご当地スイーツに負けても、結局リピートされ、選ばれ続けているというわけです。

五月ヶ瀬も同じで、- 万人受けする甘さとピーナッツの香ばしさ- 個包装で配りやすく、軽くてかさばらない- 冠婚葬祭からちょっとした手土産まで、シーンを選ばないという「攻めていないようで、実は隙がない」強さがある気がします。

目新しさでは他のお菓子に譲っても、「とりあえずこれなら間違いない」という安心感で選ばれ続ける——それが五月ヶ瀬が半世紀近くロングセラーであり続けている理由なのかもしれません。

福井県民にとっての「五月ヶ瀬」

来客時のお茶菓子として、普段のおやつとして、そして冠婚葬祭の引き出物として——五月ヶ瀬は福井の暮らしの色々な場面に自然に溶け込んでいます。県内のお土産屋さんやスーパーには当たり前のように置いてあり、県外の百貨店の物産展などでも見かけることがあるそうです。

素朴で飽きのこない味わいだからこそ、何十年も定番であり続けられるのかもしれません。

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