中高年の就活で見落としがちな「コンビニ・夕方募集」の真実

失業で焦るメンタル

無職が視野に入ってくると、急に街の貼り紙や求人広告がやけに目につくようになります。
これまで見向きもしなかった「コンビニ募集中」の文字が、なぜか現実味を帯びて迫ってきます。
私自身も最近、近所のコンビニの貼り紙を見て「人生で一度くらいやってみてもいいのでは」と本気で考えました。
正直に言うと、そのときの私はどこかで「コンビニ“でも”いいから」と思っていました。
この感覚は、特別な人のものではありません。
むしろ、中高年にかなり広く起きる心理だと感じています。

血迷う瞬間は、たいてい静かにやってくる

無職が近づくと、頭の中でいくつかの思考が同時に動き出します。
収入が途切れる不安
社会から切り離される感覚
肩書きが消える恐怖
この3つが重なると、人はわりと簡単に判断を雑にします。
「贅沢は言っていられない」
「とにかく何かやらないと」
そう思った瞬間、選択肢の精査をやめてしまうのです。
これは意志の弱さというより、心理的な防衛反応に近いものだと思います。

なぜコンビニは「都合のいい逃げ先」に見えてしまうのか

コンビニの仕事は、外から見ると条件がそろっています。
全国どこにでもある
募集が常に出ている
資格がいらない
短時間シフトがある
一見すると「今の自分にちょうどいい仕事」に見えます。
ですが、この「ちょうどよさ」こそが落とし穴です。
中高年が置かれている状況と、コンビニの現場の現実は、かなりズレています。

実際のコンビニは、想像以上に高度な現場です

ここで、私がいちばんなめていた点を書いておきます。
コンビニは、単純作業の集まりではありません。
むしろ、かなり高度なスキルを要求される職場です。

業務内容が多すぎる

レジ打ち
揚げ物・中華まんの管理
品出し
宅配便の受付
公共料金の支払い対応
チケット発券
コピー機トラブル対応
外国人客対応
これらが、同時進行で発生します。
一つひとつはマニュアル化されていますが、現場ではマニュアルどおりにいかないことの方が多いです。

接客の振れ幅が異常に広い

コンビニには、本当にいろいろな人が来ます。
毎日来る近所のお年寄り
学校帰りの学生
深夜の酔客
通りすがりの旅行者
ときには、明らかに様子のおかしい人
そして、ニュースで見るような強盗事件も、決して他人事ではありません。
一つの職場で、これだけ幅のある対人対応を求められる場所は、実はかなり珍しいです。

社会インフラの最前線だという事実

コンビニが止まると、現代の生活は一気に不便になります。
ATM
公共料金
宅配
食料
災害時の物資供給

このように仕事が多岐にわたり、今やなくてはならない施設であることはまちがいありません。

夕方募集が多い本当の理由

近所のコンビニに、家族が雑談まじりで聞いてみたところ、
「今、募集しているのは夕方のシフトなんですよ」と言われたそうです。
最初、この言葉の意味がよくわかりませんでした。そ
夕方なら、主婦も学生もいそうで、むしろ集まりやすい時間帯だと思い込んでいたからです。そして、「夕方なら時間も空くしいいかな」と思ってしまったのです。

「夕方なら」ではなく、「夕方なので」

ところがその考えが完全に甘いことは、ちょっと調べて分かりました。

実際の構造は、まったく逆だったのです。

夕方は、人が来ない時間帯ではありません。
むしろ、人は「来たい」と言う時間帯です。
ただし、「固定で入り続けられる人」がほとんどいないのです。

夕方シフトの厳しい現実

高校生は下校時間と重なりますが、部活や塾で不定期になります。
大学生は講義の終了時刻が読めず、毎週同じ時間に入れません。
主婦層は、夕方になると一斉に家庭側へ戻ります。
子どもの帰宅、夕食準備、家族対応が同時に発生するからです。

結果として、
「入りたい人はいる」
「でも、続く人がいない」
という、いちばん厄介な状態が夕方に集中します。

さらに問題なのは、夕方がいちばん忙しい時間帯のひとつだという点です。

帰宅客の来店ラッシュ
揚げ物や中華まんの補充ピーク
宅配便や公共料金の持ち込み集中
夜勤への引き継ぎ準備
このすべてが、ほぼ同時に重なります。

仕事量は明らかに多いのに、
募集は2〜3時間の短時間シフトが中心です。
精神的にも体力的にも負荷が高いわりに、
「ちょっとだけ働きたい人」には割が合わない構造になっています。

もうひとつ、ここが盲点でした。

夕方は、店長や社員が不在になる時間帯でもあります。
日中は責任者がいて、判断を仰げます。
夕方は、アルバイトだけで店を回す時間が増えます。

つまり、夕方シフトは
「初心者向けの軽い時間帯」ではなく、
「現場対応力が要求される即戦力ゾーン」なのです。

この話を聞いて、私はかなり認識が変わりました。
夕方募集が多いのは、
やさしさでも、融通でも、人手不足だけでもありません。
構造的に、いちばん人が定着しにくい時間帯だからです。

もし中高年がここに、
「短時間で気軽そうだから」という理由だけで入ったら、
ほぼ確実に想定外の負荷を背負うことになります。

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