フェスで実感した「ヒット曲の強さ」|レミオロメンのステージと、20年歌い継がれてきた曲の背景

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fesに登場したレミオロメン

音楽フェスには、単独ライブとはひと味違う面白さがあります。

お目当てのアーティスト以外にも、これまで縁のなかった音楽に出会えること。そして、昔から知っている曲が、思いがけない場所でふいによみがえること。そうした偶然の重なりこそが、フェスの醍醐味だと思います。

今回、数ある出演者の中でも心に残ったのが、レミオロメンのステージでした。

一瞬で空気が変わる、あのイントロ

会場全体がまだ少しあたたまりきっていない時間帯。鳴り響いたのは、誰もが知るあのイントロでした。

「粉雪」です。

思わず身体がゾワッとする感覚がありました。フェスに集まる人が全員そのアーティストのファンとは限りません。私のように、代表曲は知っていても全曲を把握しているわけではない観客もたくさんいます。

だからこそ、誰もが知っている一曲を早い時間に持ってくる選曲には、フェスという場をよくわかっている印象を受けました。知っている人も、そうでない人も、そのイントロだけで一気に同じ空気に包まれる。この「一瞬で場をひとつにする力」こそが、長く歌われてきたヒット曲の強さなのだと感じます。

隣で盛り上がっていた、中学生くらいの男の子たち

会場でふと気づいたのですが、私のすぐ近くには中学生くらいの男の子が二人並んでいました。

正直なところ、「粉雪」も「3月9日」も、彼らが生まれる前後にヒットした曲です。いざイントロが流れると、二人ともステージに見入っていました。

ああ、あの世代にもちゃんと届く曲なんだ、と素直に驚きました。時代を問わず愛され続けてきた曲には、世代の壁をひょいと越えてしまう力があるのだと、隣にいた二人の姿を見て改めて実感しました。

後から知った、14年ぶりの活動再開

フェスが終わったあと、気になってレミオロメンについて調べてみて、私は初めて知りました。

彼らは2012年2月から活動を休止していて、結成25周年の節目にあたる2025年12月6日、約14年ぶりの活動再開を発表していたのです。2026年3月9日、あの「3月9日」にちなんだ日付から15年ぶりの全国ツアー「Reunion Tour 2026」が始まり、私が見たフェスのステージも、その再始動後のものでした。

「Reunion」という言葉が使われていることからもわかるように、彼らは一度も「解散」を選びませんでした。休止という形を取りながら、それぞれの道を歩みつつも、いつか3人でまた音を鳴らす可能性を残していたのです。

「承認欲求」という言葉に込められたもの

活動再開にあたって、ボーカルの藤巻亮太さんが寄せたコメントには、「20代の自分を苦しめたのはきっと承認欲求だった」という一文がありました。

人生を賭けてバンド活動を頑張れば頑張るほど、その報われない気持ちを誰かにわかってほしいと外に向かって求めてしまい、わかってもらえないと思い込んでは傷つき、気づけばメンバーとの間に距離ができていた——そんな内容が綴られていました。

面白いのは、この「わかってほしい」という思いが、メンバーに向けられたものというより、もっと外側の何か(世間や成功そのもの)に向いていたらしいということです。その証拠に、休止していた14年の間、残る2人はそれぞれ別の場所でしっかりと「認められる」経験を積んでいました。

ベースの前田啓介さんは、地元・山梨でオリーブオイルのブランドを立ち上げ、国内外の賞を獲得するほどの評価を得ていたそうです。ドラムの神宮司治さんは、数々の第一線のアーティストのライブやレコーディングにサポートドラマーとして参加し、必要とされ続けていました。

藤巻さんだけがバンドという場所に承認を求め続けている間に、2人はいつのまにか、自分自身の力で認められる場所を見つけていた——そう考えると、「今なら思う。逆に僕は2人の気持ちを分かろうとしたのか?」という藤巻さんの一文の重みが、少し違って見えてきます。

ステージで交わされていた、静かなアイコンタクト

そんな背景を知ってから、あらためてステージの記憶を思い出してみました。

演奏中、3人は何度も何度も目を合わせていました。特に印象的だったのは、前田さんと神宮司さんが、歌う藤巻さんに向けてやさしい笑顔を送っていたことです。当時はただ「仲が良さそうだな」としか思っていなかったのですが、今振り返ると、あれは14年分の歩み寄りが積み重なった上での、何気ないようでいて特別な瞬間だったのかもしれません。

過去の記憶と現在が交差する瞬間

ステージの最後に演奏されたのは「3月9日」でした。

卒業式の定番曲としても親しまれてきたこの曲を聴いた瞬間、自分の過去の記憶が静かに蘇り、今立っているこの場所へとつながっていく感覚を覚えました。会場のあちこちから、一緒に口ずさむ声も聞こえてきました。

まとめ:歌の背景を知るほど、味わい深くなる

私はレミオロメンのコアなファンではありません。それでも、音楽を通じてその人たちの生きざまにまで思いを馳せてしまうのが、フェスという場の面白さだと思います。

20年近く歌い継がれてきた曲の背景に、どんな葛藤があり、どんな救いがあったのかを知れば知るほど、同じメロディーが一段と味わい深く聴こえてきます。あの日ステージで交わされていたアイコンタクトを思い出すと、この歌は、聴いている私たちだけでなく、歌っている本人たちにとっての救いでもあったのではないか——そんなふうに、勝手ながら思いたくなるのです。

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