Bアリーナは“楽しみ”への投資。福井が車なしでも遊べるまちになるために

先日、バスケットボールの試合を観に行ってきました。平日のナイターで、仕事帰りにも行きやすい時間帯。近くにアリーナがあるからこそ、気軽に足を運べたのだと思います。

運よく駐車スペースを見つけて会場に入ると、応援はすでに始まっていました。グルメ屋台は試合の30分前くらいから店じまいを始めていて、選ぶ余裕もなく、残っていたお弁当を買って席へ。今回は抽選で当たった指定席です。ゴール裏でしたが、スクリーンもあるので問題なし。とにかく「迫力がすごい」のひとことでした。

ルールがわからなくても楽しめるゲーム

白状すると、バスケットのルールはほとんどわかりません。5人でプレイすること、バスケットにゴールしたら得点されること、くらいです。

それでも、周りの熱気につられてついつい地元のチームへの応援に力が入ります。4000人余りの声援はすざまじいのひとことです。相手選手のフリースローの際のブーイングなど、ちょっとなじめない独特の雰囲気はありますが、それも含めてのエンタメのようです。実際、練習では面白いように決まっていたゴールを外したりして、「やっぱり選手も人の子だな」と妙なところで感心しました。

なぜ、いま全国でアリーナが増えているのか

そんな観戦のあと、サカナクションの山口一郎さんのラジオのSNSで、各県にアリーナを作ろうという動きがあり、その恩恵でアーティストもアリーナでコンサートをしている、という話を知りました。気になって調べてみると、これはバスケットボールのBリーグが進めてきた大きな流れでした。

Bリーグは、初代チェアマンを川淵三郎さんが務め、現在は島田慎二さんが率いています。2021年に示された将来構想では、トップカテゴリーに入る条件として、5,000席以上のアリーナの確保、平均入場者数4,000人以上、売上12億円以上が掲げられました。当時はハードルが高いと受け止められたそうですが、この構想が全国の建設ラッシュを後押ししたと言われています。

2026-27シーズンからは成績による昇降格がなくなり、その代わりに、5,000席以上でVIPルームなどを備えたホームアリーナを持つことが、トップカテゴリー「B.PREMIER」の参入条件のひとつになりました。つまり、強いチームだけが上に行くのではなく、「地域に根ざした会場を持てるかどうか」が問われる仕組みに変わったのです。平均入場者数や売上の基準を満たした上で、アリーナを新設・改修した26クラブがB.PREMIERに参入する予定とされています。

もうひとつの大きな特徴は、お金の出し方です。かつてのように行政が主導するのではなく、チームの親会社などの資金力のある民間企業を軸にしたプロジェクトが多いのが、最近の流れだと報じられています。

具体的な例をいくつか挙げると、

  • ジーライオンアリーナ神戸(私がラジオで聞いた神戸のアリーナだと思います): 2025年4月に開業し、収容人数は1万人。音楽イベントや国際会議にも対応する「民設民営」の大型施設です。開業から1年で、周辺エリアの来場者は延べ150万人にのぼり、本拠地とする神戸ストークスの平均入場者数は昨季の2倍以上になったそうです。
  • 長崎スタジアムシティ: ジャパネットが開業した、アリーナにサッカースタジアム、商業施設、オフィス、ホテルまで備えた、事業費1,000億円超の大型プロジェクトです。人口38万人ほどの地方都市で民設民営に挑んでいる例として注目されています。
  • 愛知のIGアリーナ: 1.7万人収容の大型アリーナで、2025年7月にオープンしました。

もちろん、よいことばかりではありません。建設費の高騰や資金調達の難航で計画に狂いが出た例もあり、税金が投じられる可能性があることから、住民の反対運動や議会での論争に発展しているところもあります。全国一律の基準が、地域の実情に合っているのかを問い直す研究もあります。

福井でも、アリーナの計画が進んでいる

福井でも、駅から歩ける東公園に、アリーナを作る計画が進んでいます。福井商工会議所の計画では、席数は最大約5,000席で、2027年1月頃に着工し、2028年秋頃の完成を予定しています。新B1(B.LEAGUE PREMIER)の基準を満たすよう計画されているそうです。発端は北陸新幹線の福井開業で、中心市街地のにぎわいを生むための中核施設として構想されました。

福井のアリーナも、こうした全国の流れの中にあります。

家族でも意見が分かれました

わが家でも、この話題では意見が分かれます。70歳を過ぎていても「作った方がいい」という推進派がいる一方で、若くても「渋滞がひどくなる」「駐車場が足りない」と心配する声もあります。どちらの気持ちもよくわかります。

「楽しみ」にお金を使うということ

それでも私は、駅前の活性化や、若い人が住みやすいまちづくりを考えると、ハードへの投資は大切だと思っています。道路や福祉と違って、アリーナは「なくても生きていける」ものかもしれません。でも、「あそこに行けば楽しいことがある」と思える場所があることは、まちの魅力そのものです。神戸のように、開業して1年で多くの人が訪れる観光の拠点になった例もあります。生で見るスポーツやコンサートの迫力は、画面越しでは味わえません。若い人が「福井にいたい」と思う理由にも、きっとなります。

もうひとつの鍵は「脱マイカー」

ただ、箱ができれば終わりではありません。福井市で一番大きなモールといえばエルパですが、車がないと行けません。駅前からのシャトルバスもありますが、有料で、やっぱり不便です。

そこで思い浮かぶのが富山市です。コンパクトシティとして、まちなかに人が集まる仕組みが整っています。オーバードホールも、県外から行ってもわかりやすい場所にあります。うらやましいと思ってしまいました。

福井のアリーナは、駅から歩ける場所に計画されています。これは大きな強みです。新幹線で来た人が、駅から歩いて試合やコンサートに行き、そのまま駅前で食事をして帰る。そんな流れができれば、アリーナは「車で行って駐車場を探す場所」ではなく、まちの楽しみ方を変えるきっかけになるかもしれません。

もちろん、車をやめようという話ではありません。車を使いたい人は使っていい。ただ、「車がなくても楽しめる」選択肢が増えてほしい、ということです。

心配の声も大事にしたい

渋滞や駐車場、お金の使い方についての心配は、現実的なものです。全国の例を見ても、建設費の高騰や公費の扱いをめぐって議論になっている地域があります。だからこそ、完成してから困るのではなく、今のうちに交通の工夫まで一緒に考えられたらと思います。

アリーナは、「未来への投資」であり、「楽しみへの支出」。そして、福井が少しずつ車だけに頼らないまちになるきっかけにもなるのではないか。観戦の帰り道に、そんなことを考えました。

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