美容医療については、これまでも何度か書いてきた。
▶60代、美容医療を決めるまでの迷走記録|美容鍼・渡韓計画・そして「糸リフトのつもりが手術」になった理由
今回のそもそものきっかけは、ほうれい線だった。
鏡を見るたびに気になる。
そこで最初のクリニックで、「私の顔で、一番老けて見えるところはどこですか」と聞いてみた。
返ってきた答えは、意外にも、
「目ですね」
だった。
え? 目?
自分では、ほうれい線のほうがずっと気になっていたので、これはちょっと意外だった。
先生の説明を聞いているうちに、たしかに目の周りの印象というのは大きいのかもしれないと思い、結局、10月に目の周りの手術を受けることにした。
そのときには、糸リフトや再生医療などについても、いろいろ説明を受けた。
糸リフトについては、
「刹那的ですね」
という言葉が妙に印象に残った。
私はもともと手術にはあまり積極的ではない。
だから、目の周りの手術をしたあと、ほうれい線をどうするかは、また考えればいいと思っていた。
ただ、最初のクリニックで説明を受けたことは、決して軽いものではなかった。
いろいろな選択肢について説明を受け、同意書も4枚あった。
その一つ一つを読みながら、「美容医療って、こういうものなのか」と思った。
だから、今回別のクリニックに相談に行ったときも、何も知らずに行ったわけではない。
一度、いろいろな選択肢を聞いたうえでの「もう一度考えてみよう」だった。
今度は、ほうれい線を相談しに別のクリニックへ
ところが、話はそう単純には終わらなかった。
目の手術の予約は取れたが、そのあとが空白のままだったのだ。
12月ごろに次の予定を入れたかったのだが、「まずはダウンタイムが済んでから」ということで、先の予約は取れなかった。
そのころ、インスタグラムで検索していたせいなのか、あらゆる美容クリニックのおすすめがガンガン表示されるようになった。
地元にも、いくつかの大手クリニックが進出していることは知っていた。
そこで、無料カウンセリングをやっている別のクリニックにも相談してみることにした。
今度は、ほうれい線について聞いてみたかったからだ。
イメージと違った美容クリニック
朝一番で予約した。
そんなに待たないだろうと思っていたのだが、受付してみると、すでに10番目だった。
しかも、その間にも次々と人が来る。
「美容系のクリニックって、こんなにたくさんの人が来るのか」
ちょっと意外だった。
私は勝手に、美容クリニックというのは、もう少し敷居が高くて、他人と顔を合わせないように、一人ずつ時間をずらして来るような場所だと思っていた。
実際には、待合室にはパーテーションがあって、なるべくほかの人と顔を合わせないようにはなっている。
でも、思っていたよりずっと開放的だった。
私なんてビビりだから、エレベーターでほかの人と一緒になったとき、「この人に美容クリニックに行くところを見られたくない」と思って、わざと違う階を押したくらいなのに。
そんなことをする必要がないくらい、どんどん人がやってくる。
しかも、若い女性ばかりというわけでもない。
男性もけっこういる。
考えてみれば、みんながみんな手術をするわけではない。
肌の再生や美容の施術もあるだろうし、ニキビの相談もある。
カウンセリングでは、マジンドールのようなダイエットの服用薬も扱っていると聞いた。
そうか。
美容クリニックって、「美容整形をする人だけが行く場所」ではないんだ。
そう思ったら、
「そうだ、変にこそこそする必要はない」
と、少し気が楽になった。
「私くらいの人も来ますか?」
カウンセリングのとき、私は聞いてみた。
「私くらいの人が施術することはありますか?」
すると、
「はい。70歳代の方でもたくさん来られます」
とのこと。
たぶん、これはこの福井院だけの話ではなく、全国の症例を含めての話だろう。
だから、この答えが私個人の何かを保証してくれるわけではない。
それでも、なぜか安心した。
人間なんて、案外そんなものなのかもしれない。
「10年先を見ましょう」と言われたけれど
カウンセリングでは、最初のクリニックで説明されたことも一通り話した。
「前のクリニックでは、糸リフトの話や再生医療の話など、いろいろ説明を受けました。糸リフトについては『刹那的ですね』と言われたこともあります。それに、手術はできれば避けたいとは言ったんですが、『10年先を見ましょう』とも言われました」
すると今回の先生は、
「年齢的に10年後と言ったら……そこまで考えなくてもいいんじゃないですか」
というようなことを言った。
なるほど。
ここにも、ちょっとした感覚の違いがあるのかもしれない。
前のクリニックの医師は女性で、今回の先生は若い男性。
もちろん、性別や年齢だけで医師の考え方が決まるわけではない。
それでも私は、なんとなく「時間の見え方」が違うように感じた。
私にとって10年後は、普通にある。
平均寿命のことを考えてもそうだし、10年後もそれなりに元気で、自分の顔を見ながら暮らしているつもりでいる。
きれいに年齢を重ねている人を見ると、「こういうふうになりたい」と思う。
高齢になってからもきちんと手をかけている人と、そうでない人では、かえって差がつくこともある。
そういう「10年後の自分」を、若い男性医師がどこまで具体的にイメージするのだろう、とは少し思った。
まあ、これは私の勝手な感想である。
一方で、目の周りの手術については、
「同じようなことが、大手なので、もう少し安くできます」
という話だった。
そこは、ずいぶん現実的だ。
見積もりが、ものすごくわかりやすかった
そして、私が安心したのは、医師の説明だけではなかった。
見積もりが、明細付きで細かかったのだ。
何にいくらかかるのかが、かなりクリアに書かれている。
これは大きかった。
もちろん、前のクリニックの見積もりが悪いとか、そういう話ではない。
ただ、私の場合は、細かい金額が見えるほうが安心する。
何が含まれていて、何が別料金なのか。
それが分かれば、自分でも考えられる。
そして、どこか「比べられることを前提にしている」感じがした。
美容医療は、施術の名前だけ聞いても、素人にはなかなか比較できない。
糸リフト、ハイフ、再生医療……いろいろ言われても、「それで私には何が必要なの?」となる。
だからこそ、少なくとも金額については、比べられる状態になっていることが、私には重要だった。
そして、2時間後
受付を済ませてから、問診票を書いたり、診察を受けたり、カウンセリングを受けたり。
結局、クリニックを出たのは、来てから2時間くらい経っていた。
そして、その2時間の間に、私は何をしていたかというと。
顔全体の施術を契約していた。
……あれ?
ほうれい線の相談に来たはずなのだが。
目の周りだけではない。
ほうれい線も、頬のたるみも。
一度はやらないと思っていた糸リフトも、ハイフも受けることになった。
これは、外から見たら、
「そんなにやる?」
と言われるレベルかもしれない。
自分でも、ちょっと思う。
でも、ふらふらしていたわけではない
ここは、自分のためにも書いておきたい。
私は、何となくその場の勢いで、あれもこれも契約したわけではない。
最初のクリニックで、すでにいろいろな説明を受けていた。
糸リフトについても、再生医療についても、目の周りについても。
4枚の同意書を前にして、一度はきちんと考えている。
そのうえで今回、別の医師の説明を聞いた。
そして、価格も明細で確認した。
前のクリニックとは違う考え方もあることが分かった。
その結果、
「今回は、やってみよう」
と思ったのだ。
だから、自分の中では、ふらふらしている感じはあまりない。
むしろ、いろいろ聞いたからこそ、「やってみてもいいか」と思えるようになった、というほうが近い。
PRPを比較したわけではない
ちなみに、最初のクリニックで話に出ていたPRPについては、今回のクリニックとの比較にはならない。
湘南では、PRPは全国的に扱っていないとのことだったからだ。
だから、「こちらではPRPではなく、別の方法を勧められた」という単純な話でもない。
今回受けることになった施術についても、「これが絶対に私に合っている」と確信しているわけではない。
正直、やってみないと分からない。
そこは美容医療の、ちょっと怖いところでもある。
説明を聞いて、費用を見て、自分なりに納得して、それでも最後は「やってみるしかない」というところがある。
それでも、なぜそこまでやるのか
もちろん、単純に「若返りたい」だけではない。
私は、もう「老人」として扱われるのが嫌なのだ。
もう少し、自分のことを好きになりたい。
鏡を見て、「ああ、もう年だから仕方ない」と思うより、
「まだ、いけるじゃん」
と思いたい。
そして、もう一つ。
仕事である。
今の職場に来て、まだ半年ほどなのに、すでにかなり嫌になっている。
それでも、少なくともあと半年はちゃんと働きたい。
できればボーナスももらいたい(笑)。
そう考えたとき、今回の施術は、私にとって単なる美容ではなく、「あと半年働くためのモチベーション」にもなっているのかもしれない。
別に美容医療を受けたから仕事が楽しくなるわけではない。
職場が好きになるわけでもない。
ただ、「半年後には、今とは少し違う自分になっている」と思えることが、今の私には案外大きい。
ビフォー写真も撮った
施術前に、自分でも写真を撮った。
クリニックでも撮影しているので、こちらは完全に自分用の記録である。
あとから見返したときに、「あのときはこんな顔だったんだ」と思うのだろう。
そして、半年後、一年後にどうなっているのか。
そこはちょっと楽しみだ。
今回の金額については、モニターという条件もある。
そのため、一般的な料金とは単純に比較できない部分もある。
でも、少なくとも私自身は、内容と金額を確認して、「これならやってみよう」と思えた。
たぶん、今回私が納得できたのは、顔全体をやることそのものよりも、自分が何にお金を払うのかが見えたことなのだと思う。
美容医療を受けることを、誰に言うのか
今回、美容医療について話したのは、友人一人だけ。
「クリニックに行ってきた」とメールした。
ただ、「整形する」とまでは言っていない。
彼女が何を想像しているのかは、分からない。
家族には言っていない。
同意書を書くときに家族の連絡先を書く欄があったので、そこには黙って書いた。
これまでの私は、こういうことをするなら、もう少し「誰かに言わなければ」と思っていた気がする。
でも、今回はなぜか、少し開き直っている。
自分のお金で、自分の顔のことを、自分で決める。
もちろん、何かあったときのことまで考えれば、家族に伝えておいたほうがいいこともあるのだろう。
でも、少なくとも「美容医療を受けること自体」を、いちいち誰かに説明して許可を取るようなことではないと思うようになった。
あれだけ「変にこそこそする必要はない」と思ったのだから、そのくらいは開き直ってもいいのだろう。
何事も、永遠ではない
最初のクリニックでは「10年先を見ましょう」と言われた。
今回のクリニックでは、「そこまで考えなくても」というニュアンスだった。
どちらが正しい、ということでもないのだろう。
私自身、今は「何事も永遠ではない」と思っている。
美容医療を受けたからといって、この先ずっと同じ状態でいられるわけではない。
老いないわけでもない。
また気になるところが出てくるかもしれないし、今回やったことが思ったほどの結果にならないかもしれない。
それでも、今の自分が「やってみよう」と思った。
それでいいのではないかと思っている。
何より、11月には予定がある。
そこに向けて、一日も早く落ち着きたい。
今は、それが一番大きい。
さて、前のクリニックはどうしよう
そして、最後に一つ問題が残った。
10月に予約している、前のクリニックの目の周りの手術である。
今回のクリニックでも、「同じようなことが大手なので安価にできる」と言われた。
そして私は、今回こちらで顔全体の施術を受けることにした。
となれば、前のクリニックにはキャンセルの連絡をしなければならない。
正直、ちょっと言いにくい。
「他のクリニックに行ったら、そっちでやることにしました」
とは、なかなか言えない。
なので、ここはもう、ちょっと事故的な理由で断ろうと思っている。
……美容医療そのものより、最後のキャンセル連絡のほうが、私にはハードルが高いのである。

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